2008 Fiscal Year Annual Research Report
βブロッカーは敗血症患者の救命率を高めるー擬似ラットモデルでの検討
Project/Area Number |
20659283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 Keio University, 医学部, 准教授 (60182226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 聡 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10348766)
鈴木 武志 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327600)
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Keywords | 敗血症 / βブロッカー / 生存率 |
Research Abstract |
申請者らは、敗血症ラットに対するβブロッカーエスモロール持続投与が、心機能を保持し炎症性サイトカインTNF-α放出を抑えることを報告した(Crit Care Med2005;33:2433)。本研究初年度であり、研究目的である「βブロッカー(エスモロール)持続投与による死亡率への影響を検討する」実験計画を遂行した。敗血症ラットに対するβブロッカーエスモロール投与量は心拍出量への効果を含め特定していた(Crit Care Med2005;33:2294)が、3群間での死亡率は統計学的処理も複雑となることから、実績のあるエスモロール投与量の中間である15mg/kg/hrを採用した。従来の方法にしたがい、全身麻酔下に頚動脈頚静脈にカテーテルを留置し、頚背部より体外に出してラット用回転式シーベル装置に装着する。その後、開腹して盲腸穿孔法により腹膜炎を惹起し、閉創する。腹膜炎を惹起しているため、鎮痛薬として塩酸ブプレノルフィン持続投与を行う。 全身麻酔覚醒後、ラットは意識下に飼育ケージ内を自由に動くことが可能となる。その後、無作為にコントロール群(生食投与2mL/kg/hr)、エスモロール群(15mg/kg/hr)の2群に分け、経静脈的持続投与をそれぞれ開始する。動脈圧をモニターし、継続的にデータ保存、動脈圧が消失した時刻を検証できるように設定した。本年度は盲腸穿孔による腹膜炎モデル作成に関する研究者の手技安定を図ると共に、βブロッカー至適投与量を再検討し、その結果15mg/kg/hr群を採用することとした。ラットに腹膜炎惹起後、エスモロール投与群と非投与群に無作為に分け、その後の血圧、心拍数、生存時間、動脈血液ガス分析値を比較検討した。中間解析結果として2群間に血圧、乳酸値に差は認めないものの、心拍数は投与群で低下する一方、生存時間が投与群で延長する傾向を示した。この結果は、「βブロッカー持続投与が敗血症における生命予後を改善する」という仮説を裏付けるものであり、標本数増加とその機序解明に向けた研究計画を継続する。
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