2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病菌が誘発する動脈硬化病変形成の分子基盤研究のパラダイムシフト
Project/Area Number |
20659284
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 敦雄 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 伸治 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40362678)
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Keywords | 歯学 / 動脈硬化 / 感染症 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 歯周病菌 |
Research Abstract |
本研究課題において、動脈血中に移行した歯周病菌Porphyromonas gingivalisがアテローム形成を促進するメカニズムを明かとすることに成功した。我々は、「血管内皮傷害マウスモデル」という新しい実験系を世界に先駆けて用い、P.gingivalisのアテローム形成への直接的関与を明らかにするとともに、梗塞性疾患と歯周病感受性と関連する遺伝子を探索し、疾患との関連性を明らかにすることを目的とした。大腿動脈の血管内皮を傷害したモデルマウスにP.gingivalisを感染させることにより、動脈硬化病変の形成を評価した。その結果、中膜の血管平滑筋細胞の内膜への遊走、増殖を認め、血管内壁を満たし、粥腫(アテローム)を含まない明確な動脈硬化病変を形成した(J.Periodontal Research, 2010)。また培養平滑筋細胞を用いた実験により、血管平滑筋細胞は、収縮型から増殖型に形質転換を起こし、平滑筋細胞が血管内壁を満たし、血管栓塞の原因となる可能性を示すとともに、S100 calcium-binding proteinが細胞増殖活性に関与することを明らかにした(FEBS Lett, 2009)。 さらに、100名の動脈硬化患者から手術時に摘出した動脈硬化病変組織の組織学的観察を行った。P.gingivalisが検出されない(P.gingivalis陰性)組織には、アテローム斑が著明に認められたが、P.gingivalis陽性組織にはアテローム斑はほぼ認められず、S100 calcium-binding proteinの蓄積が顕著であった(論文投稿中)。これらの所見より、心・血管疾患発症とP.gingivalis感染を結ぶ未知の分子基盤の存在が示された。
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Research Products
(30 results)