2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子獲得の可視化によるA群レンサ球菌の病原性発現機構の解析
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20659286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (60028777)
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Keywords | レンサ球菌 / マイクロアレイ / タイリングアレイ / 転写 / GFP |
Research Abstract |
A群レンサ球菌(Group A Streptococcus:GAS)は初発感染として咽頭炎や扁桃炎,さらに続発性疾患として猩紅熱やリウマチ熱,糸球体腎炎を引き起こす病原菌である.これまで世界中で13菌株のゲノム配列が決定されているが,現在までのところ,疾患に特異的な遺伝子群あるいは変異遺伝子の存在は明らかとなっていない.この理由は、ゲノム情報だけでは疾患特異的な遺伝子の時空間的な発現様式が明らかとできないことが考えられる.そこで、本研究では、マイクロアレイを用いて疾患特異的な発現を菌の感染状態で明らかにすること、疾患特異的な遺伝子発現をモニタリングする方法を開発することを目標としている.平成20年度では、マイクロアレイを用いて、疾患特異的な遺伝子のプロファイリングを行ったA群レンサ球菌の全ゲノムレベルでの発現解析を定量的に行った,HeLa細胞に感染したA群レンサ球菌において,感染後1時間目から4時間目までの各時間で高い発現を示していた上位200個の遺伝子のうち,全ての時間で共通して高い発現を示した遺伝子数は128個,咽頭上皮由来のKyse510細胞に感染させた場合では72個であった.両方の細胞で共通しており,且つ感染前の菌で発現が低かったのは19個の遺伝子で,転写制御因子やRNA結合タンパク質がみられたが,両方の試料で60%程度が未知の遺伝子であった.既知の病原因子に関しては,両方の試料で共通して高発現をしているものはなかった.また,感染後4時間目において,オートファジー欠損細胞内でのA群レンサ球菌の遺伝子発現パターンと比較し,野生型の細胞に感染した場合のみリボソームタンパク質S13が高い発現を示しており,A群レンサ球菌のオートファジー存在下での生存に関わっている可能性が考えられた.
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Research Products
(15 results)