2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子獲得の可視化によるA群レンサ球菌の病原性発現機構の解析
Project/Area Number |
20659286
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 Osaka University, 微生物病研究所, 特任教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一路 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70294113)
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Keywords | レンサ球菌 / A群レンサ球菌 / Streptococcus mutans / バクテリオファージ / CRISPR / ゲノム再構成 |
Research Abstract |
A群レンサ球菌(Group A Streptococcus : GAS)は初発感染として咽頭炎や扁桃炎,さらに続発性疾患として猩紅熱やリウマチ熱,糸球体腎炎を引き起こす病原菌である.これまで世界中で13菌株のゲノム配列が決定されているが,現在までのところ,疾患に特異的な遺伝子群あるいは変異遺伝子の存在は明らかとなっていない.この理由は、ゲノム情報だけでは疾患特異的な遺伝子の時空間的な発現様式が明らかとできないことが考えられる.そこで、本研究では、A群レンサ球菌と系統的に近縁種であるStrptococcus mutansの全ゲノム配列を決定し、A群レンサ球菌を含むレンサ球菌属内で比較することにより、新規遺伝子獲得機構について解析を行った.その結果、S.mutansはA群レンサ球菌と同様に染色体が大幅に入れ替わる大規模なゲノムの再構成が認められ、このようなゲノム構造の入れ替わりは、個別の遺伝子で起きるのではなく遺伝子クラスターでの移動が認められること、レンサ球菌の進化の過程で頻繁におきていることが明らかとなった.また、S.mutansでは、A群レンサ球菌とは異なりファージ、あるいはプロファージがゲノム内に全く認められなかった.A群レンサ球菌は、既知の病原性遺伝子は、コアの染色体内に保存されているが、菌株ごとの変化は、ファージにコードされている病原性遺伝子に依存していることが明らかとなった.このファージを規定する要因として、S.mutansではCRISPR領域が非常に発達しており、このCRISPRを用いてS.mutansは外来性遺伝子の侵入を非常にタイトに制御していることが明らかとなった.
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Research Products
(13 results)