2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659289
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 好秋 Niigata University, プロジェクト推進室, 教授 (80115089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
黒瀬 雅之 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40397162)
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Keywords | 嚥下 / 咀嚼 / 睡眠 / 筋電図 / 介護 / リハビリ |
Research Abstract |
超高齢社会の現在、嚥下障害ため食物の口腔摂取が困難な患者が増加している。これら嚥下障害の治療に対して有効な嚥下誘発手法が臨床の現場から求められているが、未だにその手法は確立されていない。我々は、動物実験での咽頭領域への電気刺激の嚥下誘発に対する有効性に着目し、ヒトへの応用を試みた。嘔吐反射を誘発させないように刺激電極を鼻腔から挿入し、咽頭領域に留置するために、刺激電極の開発から行った。開発当初は刺激電極を咽頭領域に固定するために小型でかつ強力なサマリウム磁石を電極の先端に取り付けていたが、ガイドワイヤーを併用することで、磁石がなくても電極を咽頭領域の一定部位に留置することが可能であることが判明した。この開発した刺激電極を用い、内視鏡観察下で位置を確認しながら嚥下誘発域と考えられている咽頭後壁の種々の部位を電気刺激し、電気刺激による嚥下誘発の有効性を調べた。電気刺激のパラーメーターには、Pilot Studyにおいて有効性の確認されたDuration 1ms、frequency 30Hzで30発の連続した電気刺激を用いた。結果、咽頭後壁への電気刺激により嚥下反射は効果的に誘発さることが明らかとなった。刺激効果は舌咽神経支配領域である中咽頭後壁、上喉頭神経支配領域である下咽頭領域で差はなかった。また、嚥下誘発は、被験者の意志により抑制された。このように、誘発された嚥下反射が被験者の意志により抑制されることから、誘発された反射応答は、上位中枢からの下行性入力により制御されることが示唆された。本研究で開発されたヒトの嚥下誘発システムは、経鼻的に刺激電極を設置しなければならない、電気刺激装置が大きいなど、実際の臨床応用を考えたときに解決しなければならない問題がいくつかあるが、嚥下障害の治療に向けて有効な手法の一つになる可能性を持っていると考えられる。
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