2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答を制御するリン酸化シグナル解明への遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
20659292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 弘資 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10313230)
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Keywords | ストレス応答 / シグナル伝達 / リン酸化 / MAPキナーゼ / 線虫 |
Research Abstract |
本研究は、われわれがこれまで携わってきたストレス応答キナーゼに関する研究手法ならびに研究成果をもとに、線虫C. elegansを用いた遺伝子探索によってストレス応答を制御する新たなリン酸化シグナル経路を見出し、口腔疾患の新たな予防、診断、治療法のターゲットとしての意義を探ろうとするものである。本年度、われわれは哺乳類ASKl分子の線虫オルソログであるNSY-1の遺伝子変異個体が、無酸素状態において野生型個体に比べて生存率が上昇するという興味深い表現型を見いだした。この表現型は、線虫p38MAPキナーゼ(PMK)経路を構成する各分子の変異個体で共通して認められたことから、NSY-1-PMK経路が無酸素に対する個体の応答に重要な役割を果たしていると考えられる。また、無酸素状態に12から24時間置いた個体においては、野生型ではPMK-1の強い活性化が見られるのに対し、NSY-1変異体ではその活性化はほとんど検出できないレベルにまで低下していた。以上の結果は、無酸素に対するストレス応答におけるNSY-1-PMK経路の重要性だけではなく、本研究の目的である「ストレス応答を制御する新たなリン酸化シグナル経路」を見いだすための非常に有用なスクリーニング系の構築が可能なことを示している。すなわち、NSY-1変異個体と野生型個体にそれぞれ無酸素刺激を加え、遺伝子発現の変化をマイクロアレイ解析することで、高率でNSY-1-PMK経路の標的遺伝子を兄いだすことができる。現在、実際にそのような解析を終え、候補遺伝子の評価を行っている。最も鋭敏にPMK活性に依存して発現誘導がかかる遺伝子のプロモーターを利用し、バイオイメージングを用いたPMK活性評価系ならびにそれを用いた遺伝子スクリーニング系を確立することが次年度の目標である。
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Research Products
(10 results)