2008 Fiscal Year Annual Research Report
抜去歯由来幹細胞による骨、歯髄、象牙質再生療法と発展的細胞治療法、同種移植研究
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20659297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 陽一 Nagoya University, 医学部附属病院, 助教 (20345903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
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Keywords | 再生医療 / 幹細胞 / 細胞治療法 / 同種移植 / 歯内療法 |
Research Abstract |
近年、再生医療は失われた組織、臓器に対する治療法として、移植治療に代わる医療として発展している。その三要素の一つである"細胞"はヒトES細胞やiPS細胞が樹立され、究極の万能細胞として期待されているが、社会的、倫理的、安全性の問題があり、臨床への実用化は厳しいのが現状である。また現在、骨髄や臍帯血など細胞供給源として用いられているが、骨髄は加齢に伴い幹細胞数が減少する、骨髄穿刺が負担となる、症例によっては採取できない等の問題点が上げられている。そこで、抜去歯(不要永久歯および乳歯)より、歯髄幹細胞の単離・培養し幹細胞供給源としての可能性について検討を行った。乳歯歯髄幹細胞(MTSCs)は、永久歯歯髄幹細胞(DPSCs)と比較して増殖能が高い傾向が示され、免疫染色によりSTRO-1の発現が確認された。さらにフローサイトメトリー分析では、MTSCs、DPSCsともにCD13, CD29, CD44, CD73等の間葉系幹細胞マーカーの発現が認められたのに対し、CD14, CD45等の造血系幹細胞マーカーの発現はほとんど認められなかった。また、MTSCsは骨芽細胞分化誘導によりアリザリンレッド染色陽性を示し、骨芽細胞および象牙芽細胞特異的遺伝子の発現が認められた。脂肪細胞分化誘導においては、MTSCsでは脂肪滴の形成が確認されたが、DPSCsでは脂肪滴はわずかに認められるにすぎなかった。従って、MTSCsは間葉系幹細胞(MSCs)特異的な表面抗原を発現し、骨系および脂肪への多分化能を有することから、永久歯歯髄同様に幹細胞特性を有することが示された。また、MTSCsはDPSCsと比較して増殖能が高いことから、より未分化な細胞群に富んでいると考えられる。さらに、子イヌと親イヌのMTSCs、DPSCs、MSCsを用いた同種移植実験に着手しており、骨再生能について検討を進める必要がある。
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Research Products
(17 results)