2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 英紀 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80208222)
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Keywords | ウ蝕 / 栄養素 / 硬歯質形成 / 環境要因 / 耐酸性 / 遺伝子発現 / モデル動物 / 薬剤 |
Research Abstract |
ウ蝕の発症に栄養素の過剰摂取あるいは欠乏が深く関与するとの仮説を設けた。すなわち、特定の栄養素の過剰な摂取あるいは欠乏によって歯牙硬組織の成熟に関与するとされる種々の遺伝子発現が影響を受け、結果的にウ蝕に感受性あるいは抵抗性を示す歯質が形成されるというものである。そこでまず本課題を検証するための実験モデルの確立を試みた。ラットの下顎切歯は生涯を通して発育を続けることから栄養素に代表される環境要因が遺伝子発現に及ぼす影響を検討する上で格好の材料となると考えた。そこで平成20年度は本仮説を検証するモデルを構築することを目的として、in vitroで乳酸に対する酸抵抗性を評価するためのアッセイ方法の確立を検討した。すなわち、ラット切歯を研削、平坦化し厚みが一定となるように調整した後に、各種濃度の乳酸に浸漬し、経時的な脱灰の進行を光学顕微鏡下で観察した。その結果、浸漬する酸性水溶液の濃度を変化させることで経時的な脱灰の進行を客観的に観察することが可能となることを明らかにした。とくに資料の厚み、浸漬する乳酸水溶液の濃度、ならびに観察期間の最適化に成功した。すなわち、少なくともラット切歯を用いた耐酸性評価測定法の確立に成功した。今後、この手法をマウスに応用することで、遺伝子操作等により得られた各種疾患モデルマウス由来の歯質や、種々の栄養状態あるいは薬剤といった後天的影響を受けた歯質における脱灰の評価が可能となる可能性を示した。
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