2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659298
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 英紀 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80208222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 茂樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30549762)
|
Keywords | 象牙質 / Dentin Sialophosphoprotein / Dentinogenesis Imperfectua / 栄養素 / 齲蝕感受性 |
Research Abstract |
DSPPは象牙質に最も多く存在する非コラーゲンタンパクであり、その遺伝子の翻訳産物は常にDSPとDPPの2つに開裂されて象牙質に沈着し、象牙質形成に重要な役割を果たす。しかしながら各々の生理的な機能は未だ不明な点が多い。そこでDSPPノックアウトマウスで、DSPのみをレスキューした、すなわちDPPのみを欠損したマウスの臼歯における表現型をH&E染色、X-ray、マイクロCT等を用いて解析した。DSPPノックアウトマウスの臼歯では、象牙前質と象牙質の境界である石灰化前線が不規則であり、また象牙質内に石灰化不全領域を認めた。一方、レスキューマウスでは、DSPPノックアウトマウスとは異なり、石灰化前線は歯髄腔に沿ってスムーズに存在し、象牙質内に石灰化不全領域を認めなかった。マイクロCTを用いて象牙質量(象牙質の体積量)及び象牙質密度(象牙質単位体積あたりのハイドロキシアパタイトの量)の測定を行った結果、DSPPノックアウトマウスでは象牙質量及び象牙質密度はDSPP+/-マウスと比較して共に有意に低下した。一方、レスキューマウスでは象牙質量はほぼDSPP+/-マウスと同レベルに戻ったものの、象牙質密度はDSPPノックアウトマウスと同様に低いままであった。DSPのみをレスキューすると象牙質量は大きく回復するものの、象牙質密度は変わらない事から、DSPは象牙質形成(前象牙質から象牙質への変換)に積極的に寄与し、DPPは主に象牙質形成後の象牙質成熟に寄与することが示唆された。以上から、栄養素の過剰あるいは欠乏よる影響としてDSPP遺伝子発現や産物のみでなくDSPPを開裂する未だ未解明の酵素の制御にも着目する必要があることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)