Research Abstract |
本研究は,医療・看護サービスの向上に資するため,米国のマグネットファシリティ認定のしくみや果たしている役割を参考に検討し,日本における“組織の評価・改善を促進するしくみづくり"のあり方を検討することを目的とし,(a)マグネットファシリティ認定施設の実態調査,(b)国内の組織改善の実態調査を中心に検討を行う。 (a)研究初年度の2008年度は,我が国同様公的保険を中心とするオーストラリアにおいてマグネットファシリティの認定を受けたPrincess Alexandra Hospital Health Service District,州保健局,看護協会を対象にヒアリングを行った。 結果,施設におけるマグネットファシリティの認定取得までの取り組みについて,病院管理者(Executive Director;医師,看護職,事務職,他),看護管理者(Nursing Executive),マグネットファシリティ推進者(Magnet Champions;看護職),およびマグネットファシリティ認定取得担当者から回答を得た。マグネットファシリティ認定取得のために,組織が一丸となって取り組んでいた。認定取得のための膨大な文書作成は,担当者を中心に各部署ごとの事例をもとに作成していた。各回答者からの反応は,一様にマグネットファシリティ取得に対して好意的であり,職務満足の向上,患者満足の向上が成果としてあげられた。 (b)日本における組織改善の実態調査の前段階として,全国の看護管理者を対象に「評価の高い看護組織」についてのアンケート調査を行った。 結果,「患者満足度が高い」「業務改善に努力している」「看護師等の職務満足が高い」「看護師等の労働環境の改善に努力している」「看護師等の獲得に成功している」「参考にしたい取り組みを行っている」の項目において評価が高いと考えられている病院(看護部門)名が明らかとなった。今後この結果をもとに,次(2009)年度の調査を計画し,看護部としての組織改善の取り組みの実態を明らかにする。
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