2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659350
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹中 和子 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 講師 (90227041)
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Keywords | 乳児-養育者相互作用 / 養育行動 / 参加観察 |
Research Abstract |
本研究は,乳児期における社会的相互作用発達過程を支援する養育行動モデル構築に寄与することを目指して,保育士と乳児および親と乳児の日常の関わり場面から,乳児に対する養育行動発現過程について調査・分析を進めている。機器等の故障やインフルエンザの流行等の問題で調査を中断した時期もあったが,以下の通り調査を継続している。 対象者を保育士および乳児とする調査Iについては,準備を整えてききた施設の改築工事や対象乳児がいないなどの事情で実施が難しくなったため,新たな施設に協力を得て準備を進めているところである。インフルエンザの流行や行事等により実施は容易ではなく,現在予備調査の段階であるが,来年度より本調査を開始する予定である。 対象者を親および乳児とする調査IIについては,対象者への配慮を最優先にしており実施はなかなか容易ではないが,現在までで5組の母子から協力を得,調査を進めている。1組については,生後1年間の調査期間が終了し,その結果の一部は日本発達心理学会21回大会にて発表した。1事例ではあるが,母親の行動は,乳児の発達状況に合わせて変化していたことが示された。生後2カ月では母親は乳児の反応を引き出す行動が多くみられ,生後4カ月では乳児の反応に応答する行動がみられた。また生後6カ月では乳児の状態をふまえた見守りの行動が多かった。乳児の喃語や運動機能,認知,情緒の発達は,母親の養育行動を引き出す大きな要因になっていると考えられる。 本研究は自然場面での記録であることから,統一した状況下でのデータ収集が難しいが,得られたデータは乳児と養育者の関わりを記録する貴重なデータであり,今後対象者を増やし,データを蓄積し,丁寧に分析を進めていきたいと考える。
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