Research Abstract |
過年度に続いて,入眠障害を改善すべく介入方法を探索した。今回新たに,下肢の循環促進が期待できるマッサージ器(アクティブモア,MD5600)を導入した。このマッサージ器で,健康な50歳代男性を対象に,就寝前に30分の足底部のマッサージと下肢バイブレーションを行ったところ,BIS値の解析から,無介入(コントロール)に比べて入眠潜時時間の短縮が見られた。また,深いノンレム睡眠相当する時間の割合が多く見られ,下肢末梢循環の促進と足底部の"ツボ刺激"の効果と考えられた。同様に,温泉入浴による効果も検証を重ねたが,これらは全身保温であることから,入眠促進効果は期待できるが,その後"睡眠の深さ"に付いては,やや疑問が残った。即ち,温泉特に塩化物泉の場合,その保温効果から,入眠後かなりの時間保温効果があり,このことによって,"眠り"が浅くなっているようである。音楽聴取による効果の分析では,"1/fゆらぎ"の音源や純正律音楽が入眠促進に効果があると言われているが,必ずしもそのような結果とはならなかった。実験で明らかとなったことは,単純な音楽の繰り返し(ストーリーや意味のないもの)の方が効果的であった。 今後実施する高齢者を対象とした実地検証に向けて,主観的指標として,ピッツバーグ睡眠質問票及びセントマリー病院睡眠質問票と多角的に検討し,これらが有効であると考えた。客観的指標としては,BISモニタによる計測,加速度センサ(アクチグラフ)のほか,体動センサ(SL-501)の使用も視野に入れ,安全かつ精度の高い計測方法を検討した。また,実際に看護的に介入する項目として,自律神経系への効果を期待して「究極の眠りを誘う音楽」を候補とし,末梢循環の促進を期待して,就寝前の足浴及び下肢のマッサージ(電動器具使用)とした。
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