2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規AMPA受容体制御因子群によるシナプス機能制御の解明
Project/Area Number |
20670005
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深田 正紀 National Institute for Physiological Sciences, 細胞器官研究系, 教授 (00335027)
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Keywords | 神経科学 / AMPA受容体 / グルタミン酸受容体 / シナプス / 生化学 / てんかん / シナプス伝達修飾分子 / リガンド / 受容体 |
Research Abstract |
AMPA型グルタミン酸受容体は脳内の興奮性神経伝達の大部分を司るので、この受容体がどのようにしてシナプス膜へ輸送され、機能が制御されているかは現在の神経科学における重要な命題である。本研究ではこの命題に対し、独自に同定した分子群1)パルミトイル化脂質修飾酵素P-PATおよび2)シナプス修飾リガンドLGI1に着目して、AMPA受容体制御機構の全容を明らかにする。本年度の研究実績は以下のとおりである。 1)シナプスにおけるAMPA受容体発現量は足場蛋白質PSD-95によって規定されることが最近の研究から明らかになってきている。今回、私どもはPSD-95のシナプス局在がP-PATにより動的な制御を受けていることを見出した。P-PAT酵素はDHHC2,3,7,15の4種類の分子種からなるが、各分子種は外界刺激により異なる制御をうけていることが明らかとなった。中でもDHHC2は神経活動の低下に伴いシナプス近傍にダイナミックに移行することによりAMPA受容体の恒常性維持を制御していることが明らかとなった。2)一方、私どもが最近同定したシナプス修飾リガンドLGI1の作用機構を明らかにする目的で、LGI1複合体を精製、同定を行った。今年度はタグ付きLGI1を発現させたマウス脳より脳内LGI1複合体を特異的、かつ、定量的に同定した。これらLGI1複合体の結合様式を生化学的、構造生物学的に明らかにしつつある。さらに、LGI1およびその受容体ADAM22の脳内局在を電子顕微鏡レベルで検討している。このように今年度の研究計画は達成できたと考えている。
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