2011 Fiscal Year Annual Research Report
レンチウイルスベクターを用いた新しい遺伝子機能解析システムの構築とその応用
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20670006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊川 正人 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (20304066)
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Keywords | レンチウイルス / ジーントラップ / バイオリソース / 生殖 / 実験動物 / 不妊 / ノックアウト |
Research Abstract |
【目的】本研究では、レンチウイルスベクターの特徴を生かしてin vivoランダム遺伝子破壊法や遺伝子置換システムを開発し、遺伝子組換えマウスライブラリーを作製する。これらの遺伝子組換え動物はバイオリソースとして公開し広く生命科学研究者に提供する。さらに不妊マウスについて重点的に解析を進め、社会問題にもなっている不妊・不育のメカニズムを明らかにする。 【遺伝子破壊マウスおよびラットの作製】引き続き遺伝子破壊マウスライブラリーの構築に取り組んだ。具体的には遺伝子破壊したES細胞を用いてキメラマウスの作製と生殖系列への寄与を確認した。また共同研究者の樹立したラットES細胞へのウイルスベクター感染と遺伝子破壊を予定していたが、樹立されたラットES細胞の生殖寄与率が低下したために、新たなラットES株を樹立するまで実験を延期した。 【生殖不全マウスの解析】本年度は小胞体内腔に存在してS-S結合を触媒するプロテインジイソメラーゼ(PDI)の精細胞特異的ホモログであるPDILTに着目して研究を進めた。PDILT欠損マウスの精子は見かけ正常な形態と運動性を有するが、子宮から卵管に移行できないために雄性不妊であった。さらに生化学的な解析からPDILTは小胞多シャペロンであるカルスペリン(CALR3)と共役して精子膜タンパク質ADAM3の品質管理に必須であることを報告した。ところでこれらADAM3を欠損する精子は卵子を取り囲んでいる透明帯に結合できないことも知られている。ところがPDILT欠損精子だけでなくADAM3欠損精子を卵管に直接注入したところ受精・分娩に至った。今回の成果は、ADAM3欠損による雄性不妊の原因は透明帯結合不全ではなく、卵管移行障害にあることを証明するものであり、原因不明の雄性不妊のモデルとしても評価される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスライブラリーの構築としてはES細胞レベルで1000系統近くを樹立しており、目標はほぼ達成済みである。さらに生殖不全を示すマウスの表現型の詳細な解析に取り組んでおり、すでに複数論文発表するなど順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、人工制限酵素を用いた効率的な遺伝子置換システムが開発されており、レンチウイルスベクターと組み合わせた実施例も報告されている。本課題は平成24年度が最終年度となるが、新規テクノロジーを貪欲に取り入れることで、より効率的な遺伝子操作法と遺伝子機能解析法の開発も実施する。
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Research Products
(10 results)