2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20670008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 大地 東京大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (70360683)
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Keywords | 運動制御 / 運動学習 / リーチング運動 / 心理物理 |
Research Abstract |
腕の運動学習用の脳内過程が、反対側の腕運動に応じて切り替わることで柔軟な両腕運動が達成される、という仮説の検証、脳内過程の脳内表象、状態更新規則の解明を目的として以下の研究を実施した。 1.両腕運動学習における両腕運動方向の相互作用:昨年度、実験系に実装した「エラークランプ法」を用いて、一定の方向に両腕を動かしながら獲得した左腕の新奇力場への学習効果の、各腕運動方向を独立に変化させたときの(48パターン)汎化パターンを調べた。その結果、汎化関数が両腕運動方向の積の形で記述できることが明らかになった。 2.両腕協調運動学習の数学的モデル:運動学習に関与するメモリ要素が両方の腕のキネマティクスを乗算的に統合していると仮定することにより、上記の実験結果が理論的に説明可能であることを示した。メモリ要素によるこのような乗算的統合は、任意の力学的環境を学習する上で有利であることをシミュレーションによって予測するとともに、その予測を実験によって実証した。 3.脳内表象:手首運動用マニピュランダムを用いたfMRI実験を追加し、片腕・両腕運動に特異的な脳賦活部位を同定した。さらに、Dynamic Causal Modelingを適用することにより、両腕運動の場合特異的に、小脳から一次運動野へのフィードバックが有意に減弱することを見出した。 4.動作を遂行する脳内神経ネットワーク冗長性の実証:左右二つのターゲットにリーチング動作を行う際に、逆向きの視覚回転変換をかけるという我々が考案した運動学習課題を用いることにより、被験者は主観的には異なった2つの運動を行なっていると信じているが、実際に実行された運動は同一であるという状況を作りだした。さらに、この同一の運動が、異なる運動計画によって実行されている場合に限り、相反する二つの力場に適応可能であることを明らかにした。この結果は、物理的に同一の運動が異なる脳内の神経リソースによって実行されていることを示した。
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Research Products
(34 results)