2011 Fiscal Year Annual Research Report
低次元金属ナノ材料のアーキテクトニクスと赤外プラズモン
Project/Area Number |
20671002
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長尾 忠昭 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (40267456)
|
Keywords | ナノ材料 / ナノ電磁場制御 / ナノバイオ / 赤外プラズモン |
Research Abstract |
電子の疎密波であるプラズモンは、ナノ材料の形状、配列構造に応じて、その性質を柔軟に制御することができる。本研究は原子スケール・ナノスケールのプラズモン現象の理解と制御を通してナノスケール電磁気現象の応用を目指す。今年度は一昨年度に導入したMBE-超高真空赤外吸収分光装置と可視近赤外ラマン顕微鏡、近接場顕微鏡装置を用い、ナノ・原子鎖スケールの良く規定されたアンテナ構造や、金属アイランド集合体によるランダムアンテナなどの研究を行った。Agナノディスクのアンテナ共鳴のサイズ依存性から定材波プラズモンの分散関係を求め、電子線損失分光法で測定した伝搬型プラズモンとの比較を行った。また、電子線リソグラフィーや収束イオンビーム加工によるアンテナアレイを製作し、アンテナ間の相互作用が共鳴周波数に及ぼす影響を評価した。無電解メッキ法によるランダムナノアンテナの構造最適化を行い、DANや蛋白質のセンシング応用の実験を進めた結果、10<-18>M(アトモラー)レベル以上の高感度を得た。また、DNAをアプタマーとして用い、湖沼の環境水に溶解した重金属を、抽出処理を行わなずに検出を試みた結果、ppbレベル以下の低濃度での検出に成功した。これにより診断時間の短縮、計測の簡便化を視野に入れた応用展開が可能であることが分かった。また、所属機関内の共同研究により、表面増強ラマン散乱の研究、可視-近赤外帯域の光に対して高い吸収・散乱効率を持つ太陽電池用の増強材料の研究を行った。これらの成果は国際会議等において口頭発表、招待講演を行った。また、これらのこれまでの蓄積とこれらの成果が評価され、イギリス物理学会からフェロー(FInstP)の称号を受けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズモン共鳴の基礎物性に関するサブプロジェクトはほぼ予定通りに進展しており、原子スケール、ナノスケール、マイクロスケール材料の様々な材料に関する知見が蓄積されて来た。また、センシングに関するサブプロジェクトは、水中・その場計測の実験において予定に比べて十分高感度な結果が得られ、応用に向けても期待が持てる結果となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
自己組織化を用いるナノ構造制御技術とリソグラフィーをベースとした技術とを融合し、より広い材料を対象とした研究へと展開し可能性を広げたい。さらに、貴金属以外の碑金属や半導体、有機材料との複合化も視野にナノシステム構造の開発を進め、センシングのみならず、エネルギー変換材料などへの応用の可能性を探る必要があると考えている。
|