2012 Fiscal Year Annual Research Report
低次元金属ナノ材料のアーキテクトニクスと赤外プラズモン
Project/Area Number |
20671002
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長尾 忠昭 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (40267456)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ材料 / ナノ電磁場制御 / ナノバイオ / 赤外プラズモン |
Research Abstract |
電子の疎密波であるプラズモンは、ナノ材料の形状、配列構造に応じて、その性質を柔軟に制御することができる。本研究では原子スケールからナノスケールのプラズモン現象の計測と解析を通して、究極に小さなスケールにおける電磁気現象への理解増進と応用への指導原理の確立を目指す。当研究室独自のMBE-EEELS及び超高真空赤外吸収分光装置と、新規に立ち上げた可視近赤外ラマン顕微鏡一近接場顕微鏡装置を用い、良く規定されたアンテナ構造や、金属アイランド集合体によるランダムアンテナなどの研究を行った。これを通して、プラズモン共鳴の広帯域化について、2次元、3次元集積化の効果を調べ、周波数制御についての指針を得た。まず、昨年に引き続いてAgナノディスクのアンテナ共鳴の赤外吸収分光測定、3次元積層型のAuナノディスクの顕微ラマン測定を行い、集積化におけるプラズモンの広帯域化に着目したデバイス設計を進め、バイオセンシングや太陽電池への応用を提案した。また、広帯域のナノギャップアンテナの電場増強効果を利用し、DNAアプタマーを介した水銀イオン(II)の検出実験を試みた。研究所近隣の土浦市にある霞ヶ浦の環境水を採取し、抽出処理を行なわずに直接の検出を試みた結果、ppbレベル以下の低濃度で水銀(II)イオンを選択的に検出できることを確認した。エネルギー変換の応用研究として、酸化物ナノワイヤーや酸化物コアシェル型ワイヤーをベースとした触媒材料、太陽電池材料におけるプラズモン増強効果の研究も開始した。酸化亜鉛ナノワイヤーアレイに貴金属ナノ粒子を担持させた触媒を作製し、電磁場シミュレションと共に光触媒活性との比較を行い、ナノ粒子・酸化物材料表面における増強電場の強さと触媒活性との問に対応関係を調べ、実験的にも3倍程度の増強効果をもつことを確認した。また酸化亜鉛と亜酸化銅による物PN接合を製作し、ナノ粒子による増強効果を試験した。本年度は特許取得2件、論文発表8件、招待講演11件、書籍2件の外部発表を行った。
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