Research Abstract |
昨年度の研究に引き続き,本年度は志村多様体の数論幾何学およびそれに関連した幾何学,ガロア表現,保型表現の研究を行い,研究をより発展・進展させた.具体的には,正標数アーベル多様体のモジュライの研究を行い,3次元ジーゲル多様体の極小コンパクト化とトロイダルコンパクト化のエタールコホモロジーに関する結果を得た.この結果は,昨年度の研究をさらに推し進めたものであり,ゼータ関数の局所因子への応用や,4次のシンプレクティック群の保型表現に伴うガロア表現への応用も期待される.また,楕円曲線に伴うガロア表現に関する研究や,保型性の持ち上げ定理,佐藤-テイト予想に関する研究も行った.また,これと平行して,さらに研究を進展させるため,2009年4月には京都大学において「岩澤理論ミニ勉強会」を,2009年7月には気仙沼大島において国際研究集会「p-adic Automorphic Forms and Arithmetic Geometry」を(千田雅隆氏(京都大学)と共同),2009年11月には石川県金沢市において国際研究集会「金沢数論幾何集会」を主催した.これらの研究集会には,志村多様体・ガロア表現・保型表現の分野において世界的に活発な研究を行っている国内外の若手研究者を多数招聘し,参加者間で本研究課題に関する問題意識を共有することができた.そして,若手研究者同士の学術的交流を推進し,関連する他分野の研究者とも積極的な情報交換・議論を行うことで,既成の分野の枠にとらわれない総合的研究を推進することができた.
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