2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星による偏光観測の実現とガンマ線バーストの放射機構の解明
Project/Area Number |
20674002
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 数物科学系, 助教 (40345608)
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Keywords | ガンマ線バースト / 偏光 / 宇宙物理 / 人工衛星 / 検出器開発 |
Research Abstract |
本研究課題で開発を進めてきたガンマ線バースト偏光検出器(GAP)は、小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSに搭載され、平成22年5月18日に金星探査機「あかづき」とともにH2Aロケット17号機で打ち上げられた。IKAROS自身の膜展開および加速実証は極めて順調に進み、打ち上げから1か月後には理学観測機器であるGAPに電源を投入することができた。その後、宇宙空間における最終キャリブレーションを行い、センサー全てが正常に動作することを確認した上で定常観測モードに移行している。 2010年7月7日に発生したGRB 100707Aを検出し、ガンマ線バースト検出器としての動作実証を行うことができた。世界で初めてのガンマ線バースト偏光検出器が動作し始めたということでJAXAプレスリリースに取り上げられ、新聞等にも掲載されている。 現在もGAPは正常に動作し、1週間に1イベント程度の頻度でGRBを検出している。この頻度は打ち上げ前に予想していたレートと矛盾の無い結果となっている。2010年8月26日には、非常に明るいイベントであるGRB100826Aを前方21度から検出することに成功し、ガンマ線偏光の解析を進めている最中である。モンテカルロシミュレーションで検出器の応答を把握し、その情報を反映させてデータと見比べる段階に来ている。平成23年度には科学成果として公表できると考えている。IKAROSの運用は平成23年度中は続くと予想されるため、今後も観測を継続し、初めてのガンマ線偏光検出を目指したい。
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