2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星による偏光観測の実現とガンマ線バーストの放射機構の解明
Project/Area Number |
20674002
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 数物科学系, 助教 (40345608)
|
Keywords | ガンマ線バースト / 偏光 / 宇宙物理 / 人工衛星 / 検出器開発 |
Research Abstract |
本研究で開発してきたガンマ線バースト偏光検出器を、2010年5月に打ち上げられたIKAROS探査機に搭載して観測を行っている。検出器についての詳細設計や、衛星上での較正結果、偏光観測の感度等をまとめて投稿論文として発表している(Yonetoku et al.2011,PASJ,63,625-638)。 これまでの運用で約30例のガンマ線バーストを検出し、データを取得できている。その中でも特に明るかった7例について詳細な偏光解析を行い、3例から有意な偏光を検出することに成功した。とりわけ、2010年8月26日に観測したバーストは非常に明るく、精度の高い偏光測定が行えた。偏光が検出されたことから、ガンマ線バーストの放射機構は、強磁場環境下におけるシンクロトロン放射である可能性が高いことを明らかにした。また、バーストの最中に偏光角が変化していることも発見したことから、相対論的速度を持ったジェットには内部構造が存在し、複数の領域でガンマ線を作り出していることを見出した。このように信頼性の高い観測装置によるガンマ線偏光測定に成功したのは世界初であり、大変ユニークで重要な成果を残せたと言える。この結果は、すでに投稿論文として発表している(Yonetoku et al.ApJ,743,L30)。また、2011年の日本天文学会秋季年会において記者発表し、複数のメディアに掲載された。本研究の成果を広く国民に知っていただけたと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに、検出器開発と科学成果の発表を行う事ができ、当初予定していた目標は概ね達成できたと言える。科学成果の公表には慎重になっていたため、現段階で科学論文は1編であるが、来年度にも継続して公表できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は引き続き論文を公表し、科学成果を広く宣伝するために国際研究集会での発表を行っていく。まずは平成23年度に公表しきれなかった偏光検出の例を、早急に論文としてまとめ投稿する。続けて、すべてのデータを網羅したまとめの論文を準備することを考えている。 国際研究集会への招待講演の依頼も受けており、本研究の成果が科学的に重要であると認識されてきていると考えられる。ガンマ線バースト関連の国際研究集会が多数あるため、積極的に公表していく予定である。
|
Research Products
(8 results)