2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星による偏光観測の実現とガンマ線バーストの放射機構の解明
Project/Area Number |
20674002
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40345608)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / 偏光 / 宇宙物理 / 人工衛星 / 検出器開発 / 相対論的ジェット / 量子重力 / CPT対称性 |
Research Abstract |
本研究で開発したガンマ線バースト偏光検出器(通称GAP)は、2010年5月に打ち上げられたIKAROS探査機に搭載され、世界初となる本格的なガンマ線偏光観測を行ってきた。これまでの運用で約30例のガンマ線バーストを検出し、その中でも特に明るかった7例については詳細な偏光解析を行った。その結果、GRB100826A, GRB110301A, GRB110721Aの3例から有意な偏光を検出することに成功し、今年度は後者2例について投稿論文として公表した。ガンマ線バーストの放射機構についてはいくつかの理論モデルが存在するが、本研究から、強磁場環境下におけるシンクロトロン放射である可能性が高いことを明らかにした。また、相対論的速度を持ったジェットには内部構造が存在することを裏付ける証拠も得られ、相対論的ジェットの理解に貢献できたと言える。これらの観測結果を複数の国際研究集会で講演し、新たな知見として世界に認識されてきたと言える。 また、非常に遠方宇宙から偏光したガンマ線を検出したという事実から、CPT対称性と呼ばれる基礎物理学の前提条件が、プランクスケールの10兆分の1程度の超極微なスケールまで成立していることを示し、投稿論文およびメディアへのプレスリリースとして発表した。これは量子重力理論の枠組みへの制限としては過去最高の精度であり、基礎物理学に大きく貢献する成果となっている。 D. Yonetoku et al. The Astrophysical Journal, 758, Ll(2012) K. Toma, S. Mukohyama, D. Ybnetoku, et al. Physical Review Letters, 109, 241104(2012)
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