2008 Fiscal Year Annual Research Report
加速器ニュートリノビームを用いたニュートリノ混合の究明
Project/Area Number |
20674004
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中家 剛 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (50314175)
|
Keywords | 素粒子実験 / 放射線、X線、粒子線 / 加速器 / ニュートリノ / ニュートリノ振動 |
Research Abstract |
ニュートリノ混合現象の究明とニュートリノ質量情報の精密測定を目標に、加速器ニュートリノビームを活用したニュートリノ実験SciBooNEとT2Kを行っている。平成20年度はSciBooNE実験ではデータ収集を完了し最初の物理結果を発表した。T2K実験では測定器建設を大部分終え、ニュートリノモニターの一台とミューオンモニターを実験施設に設置し、ニュートリノビームに向けた実験準備を行ってきた。 【1】SciBooNEは8月までに予定通りの2×10^<20>陽子/標的のデータを収得し、実験を終了した。そのデータを使って、荷電カレント(CC)非弾性散乱事象の測定を行った。特に、CCコヒーレントπ生成反応が理論予想よりはるかに小さいことを突き止め、論文として発表した。更に、世界初の低エネルギー反ニュートリノ反応断面積の測定、T2K実験に必要な荷電カレント(CC)非弾性散乱断面積の測定、中性カレントπ^0生成反応の測定、短基線ニュートリノ振動探索のためのニュートリノビームフラックスの測定、の物理解析を進め、その途中結果を国際会議等で報告した。 【2】T2Kでは、ニュートリノビーム測定に必要な、ミューオンモニターとニュートリノモニターの制作を行った。ミューオンモニターは8月に製作を完了し、平成21年1月に測定器をJ-PARCビームラインに設置した。ニュートリノモニターはデザインを確定し、J-PARCで10000本のシンチレータ、波長変換ファイバー、半導体光子測定器MPPCの較正を行い、測定器として組み上げた。その後、ニュートリノモニター用データ収集システムを開発し、宇宙線ミューオンを使った測定器コミッショニングを平成21年2月に行った。そして3月に予定通り実験室に設置した。また、T2K実験の物理解析プログラムの準備とモンテカルロシミュレーション開発を行った。 SciBooNE実験の物理解析とT2K実験のソフトウェアー開発を京都大学に設置した計算機をフルに活用して行った。
|