2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20674005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 剛 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (80323525)
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Keywords | 電気磁気効果 / マルチフェロイクス / 磁気的フラストレーション / 三角格子反強磁性体 |
Research Abstract |
近年、スピンフラストレーションに起因してノンコリニアな螺旋磁気構造を持つ磁性体における電気-磁気結合の研究が盛んである。最近の注目として、典型的なフラストレート磁性体のひとつである三角格子反強磁性体[RbFe(MoO4)2,CuCrO2など]においてもノンコリニアな磁気構造誘起の強誘電性が観測され、三角格子反強磁性体におけるvector spin chiralityの検出および制御を電場でもって行おうという試みが、いくつかのグループで展開されている。そこで本研究代表者らのグループでは、磁気秩序誘起の強誘電性が発見された三角格子反強磁性体CuCrO2に着目、三角格子反強磁性体における電場によるvector spin chirahtyの検出および制御を目指した。 本年度の研究おいて、これまでほとんど報告例のなかったCuCrO2の単結晶試料の育成に成功し、同単結晶試料の電気磁気効果等の詳細な測定を行った。単結晶試料の測定により、CuCrO2の磁気秩序誘起の強誘電分極(T-C〜24K)は三角格子面に平行方向にあること、さらに強誘電分極の電場による反転を確認できた。このことは、間接的ながらもvector spin chiralityの検出および制御が同系において実現していることを示唆している。直接的な検証のための偏極中性子線回折実験が現在進行中である。過去の粉末中性子線回折実験で提案されている面直120°スピン構造に従えば、(スパイラル面方向の違い)×(スピンカイラリティの違い)で最低6種類の強誘電ドメインの存在が予想できるが、強誘電分極の磁場効果の測定を行ったところ磁場によるドメイン分率の変化に起因した電気磁気効果を観測することにも成功した。
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Research Products
(16 results)