2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20674005
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 剛 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (80323525)
|
Keywords | 電気磁気効果 / マルチフェロイクス / 磁気的フラストレーション / 三角格子反強磁性体 / 酸化物トランジスタ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、幾何学的フラストレーション系の代表である三角格子反強磁性体に着目し、新たな電気磁気結合物質の発見、その電気磁気特性の実験的解明、さらには、三角格子反強磁性体の特性を反映した新規な電気磁気応答の発見を目的とした研究を推進した。具体的な成果としては、磁気秩序誘起の強誘電性を示す(マルチフェロイックな)三角格子反強磁性体CuCrO2における様々な巨視的(磁化、比熱、誘電性、マクロ歪みなど)および微視的(中性子線回折、放射光X線回折)な物性さらにそれらの相関を詳細に調べることにより、同物質におけるスピン-カイラルな強誘電ドメイン構造の理解およびその電場・磁場制御を実現した。また、従来の物質では観測されることのなかった電気分極反転の電場と磁場の両者による詳細な制御がCuCrO2においては可能であることを実証した。これらの結果により、電気磁気結合を利用したフラストレート磁性体におけるスピンカイラリティなど特異な物理量の検出および制御の可能性を提示することができた。 本年度はまた、マルチフェロイクスにおける電気磁気相関の研究を進めることに加えて、KaTaO3電界効果トランジスタ(FET)を作成し、酸化物表面・界面における電界印加による電気磁気物性制御を試みた。その結果、5d遷移金属であるTaにおける強いスピン軌道相互作用に起因して、KTaO_3界面に誘起した伝導電子のスピン際差運動がゲート電場によって変調されることを示唆する反局在現象を観測することに成功した。
|
Research Products
(27 results)