2011 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン性ロダサイクルを活性種とする高度分子変換反応の開拓
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20675002
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 健 東京農工大学, 産官学連携・知的財産センター, 教授 (40359683)
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Keywords | ロジウム / カチオン性 / ロダサイクル / 付加環化反応 / 付加反応 / 結合活性化 / 触媒 / 不斉反応 |
Research Abstract |
「カチオン性ロダシクロペンタジエン中間体」を経由する触媒反応として、光学活性カチオン性ロジウム錯体を用いた、テトラインとジインとの[2+2+2]付加環化反応による、らせん不斉を有するビトリフェニレン誘導体の触媒的不斉合成に成功した。そして、このキラル化合物が大きなCPL発光を示すことを見出した。また、カチオン性ロジウム錯体とアリールエチニルエーテルとの反応により生成する「カチオン性ロダシクロペンタジエン中間体」とカルボニル化合物の反応による、ジエニルエステル誘導体の触媒的合成にも成功した。 「カチオン性ロダシクロペンテン中間体」を経由する触媒反応として、光学活性カチオン性ロジウム錯体を用いた、エンインとアルデヒドとの触媒的不斉[2+2+2]付加環化反応を開発した。 また、オレフィン異性化によるエンイン生成と、「カチオン性ロダシクロペンテン中間体」を経由する不斉Alder-Ene反応の連続化にも成功した。 「カチオン性アシルロダサイクル中間体」を経由する触媒反応として、カチオン性ロジウム錯体を用いたアルキニルベンズアルデヒドとアルキンとの触媒的[4+2]付加環化反応を開発した。 「カチオン性オキサロダシクロペンテン中間体」を経由する触媒反応として、光学活性カチオン性ロジウム錯体を用いたアルキナールとアシルホスホネートとの不斉環化反応を開発した。 さらに、新たな触媒的不斉芳香環構築法として、光学活性カチオン性金錯体触媒を用いた分子内不斉ヒドロアリール化反応による、軸不斉キノリン誘導体の合成法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、カチオン性ロダサイクルを経由する触媒反応を初めて系統的に研究し、その極めて優れた特質を詳細に明らかにすることができた。さらに、カチオン性ロジウムカルベノイド中間体という新たな高反応性活性種や、C-H結合活性化反応およびカスケード反応も見出している。このように、カチオン性ロダサイクルおよびカチオン性ロジウム(1)錯体触媒の化学は、日本のみならず世界の有機合成化学に大きなインパクトを与えている。
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Strategy for Future Research Activity |
カチオン性ロジウム錯体を用いたα,ω-ジインとアセチレンカルボン酸エステルとの反応による、面不斉パラシクロファンのエナンチオ選択的合成を試みた。しかし、面不斉パラシクロファンは低収率かつ中程度のエナンチオ選択性でしか得られなかった。そこで、環状ジインとアセチレンカルボン酸エステルとの反応を試みたところ、高収率かつ高エナンチオ選択的に面不斉パラシクロファンが得られた。今後は上記反応を詳細に検討する予定である。
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