2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学プローブのデザイン・合成による動物個体イメージング
Project/Area Number |
20675004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 和也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70292951)
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Keywords | 蛍光標識 / BLタグ / アゾピリジン / 生細胞イメージング |
Research Abstract |
蛋白質の蛍光標識・イメージング技術は、蛋白質の細胞内局在や動態を生きたまま可視化する有用な方法である。報告者は、これまでにβ-lactamase変異体(BLタグ)をタグ蛋白質として、蛍光プローブにより蛋白質をラベル化する技術を開発してきた。前年度までの研究において、BLタグと結合することで、蛍光強度が増大するプローブの開発に成功している。このプローブは、蛍光消光作用のある分子を蛍光プローブに組み込んであり、遊離状態では非蛍光性であり、BLタグとの結合により、消光分子が解離することで蛍光強度が上昇する。一方、その消光分子の解離速度が遅いために、標識に伴う蛍光強度の増大を迅速に検出することができない問題がある。本研究では、蛍光検出時間の短縮を目指して消光分子が迅速に脱離するプローブ分子の改良を行った。 まず、消光分子の脱離速度を向上させるために、脱離基のpKaが低い分子構造としてアゾピリジンを消光分子として採用した。この消光分子にBLタグリガンドであるセファロスポリン誘導体をつなぎ、蛍光色素であるフルオレセインを組み込んだプローブFCAPO2を設計・開発した。FCAPO2と肌タグを反応させたところ、極めて短時間(数分以内)で蛍光強度の上昇が確認された。更に、BLタグ融合蛋白質を細胞膜上に発現させ、FCAPO2を添加すると15分程度でラベル化反応が完了することが分かった。以上の結果から、細胞膜上の蛋白質を極めて迅速にイメージングする技術の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、蛋白質のラベル化反応に従い蛍光強度の上昇するプローブの開発に成功している。一方で、その蛍光強度が上昇する速度が遅くラベル化反応を明瞭に検出するのに数時間以上の時間を要していた。このため、蛍光検出時間を短縮することが本年度の研究課題となっていた。本年度の研究において、消光基の分子デザインにより、ラベル化反応に伴う、消光基の脱離速度を向上させることで、ラベル化反応の検出時間を大幅に短縮することに成功した。更に、迅速な生細胞イメージングにも成功しており、研究の進展は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、高感度に細胞膜上の蛋白質を検出することに成功している。一方、細胞内に存在する蛋白質をイメージングすることは、蛋白質の生理的役割を明らかにするうえで、極めて重要である。今後は、細胞内の蛋白質を高感度・迅速に検出することができるかどうかを明らかにするため、更にプローブの改良及びイメージング条件の検討を進めて行く。また、実際の蛋白質の動態や局在の観察などの生物応用研究に本技術を応用展開していく。
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