2011 Fiscal Year Annual Research Report
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20676008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早稲田 卓爾 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30376488)
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Keywords | 巨大波発生要因 / 大気・海流・波浪相互作用 / 黒潮続流 / GPS波浪観測 / 波浪統計 / 海難事故 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外洋で風の場と波浪を同時に測定し、異常波発生の前兆となる環境要因の変動特性を特定することである。 そのために以下を実施する: i)外洋における巨大波浪観測システムを開発し、その有効性を検証する ii)観測により得られる、巨大波発生時の時系列データの解析をする iii)定点観測点周辺における短期集中観測を行い、各種環境要因の分布と、その変動の現場観測データについて、数値シミュレーションモデル計算結果及び衛星データ解析結果とを比較する 平成23年度(繰り越し含む)の研究成果を以下に記す。 1)大型観測ブイ設置型GPS波浪計測システムを製造した 2)H24・6月に海洋研究開発機構の定点観測ブイ(K-Triton、JAMSTEC Kuroshio Extension Observatory(JKE0 38.1N, 146.4E)とNew KE0(NKE0 33.8N, 144.8E))に大型観測ブイ設置型GPS波浪計測システム設置した。NKE0における波浪観測は現在も順調に継続しているが、JKE0における波浪計は、10月16日より通信を絶った。統計データは毎時通信にて取得できている。 3)2014年NKEOにて、台風19号通過時の10月4日午前10時JSTに、有義波高13m、最大波高18mを記録した。この最大ははフリーク波ではないが、外洋にて記録した非常に稀な巨大波である。 4)2009年10月26日27日に、JKE0にて最大波高13mの波を二度計測している。H21年4月以降運用している、日本近海波浪予測モデル(太平洋全域低解像度モデル(1度格子)からネスティングにより、解像度(1/4度格子)から1/16度へ高解像度化)を用いて、再現した方向スペクトルからは、一方はフリーク波のおきやすい条件、他方はフリーク波のおきにく条件で発生していることが分かった。これらのケースを、それぞれの気象条件を精査し、また、位相解像モデル(Higher Order Spectral Method)による波形の再現を開始した。 5)ブイ転覆原因の究明をきっかけとして、波浪の動学的特性の推定を、数値的(数値水槽)、実験的(画像解析)により検証を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測機器のトラブル(漏水、漂流ブイの転覆・喪失)が多くあり、当初予定していた漂流ブイの展開による集中観測はできなかったが、代わりに、大水深による係留計測により、平成24年6月より、時系列の長期取得ができている。本研究課題終了の3月までには、2009年に行った3か月の計測と合わせ、合計で1年分の波浪の時系列の取得が見込まれる。また、10mを超える巨大波(13m二回、18m一回など)を複数計測しており、そのうちのいくつかは、明確にフリーク波で有ることが分かってきた。数値計算(波浪モデル)による推算と組み合わせることで、外洋におけるフリーク波の発生要因の一つである、方向スペクトルの狭帯化による発生頻度の向上の傾向が、確かめられると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模な風の場で定まる、海象条件とフリーク波の発生とに何らかの相関が有ることは、確かめられた。また、観測からもフリーク波の発生頻度が気象条件により変わることが確かめられている。しかしながら、そのような条件下で必ず観測ができる補償は無く、今後は、実際にフリーク波が観測された時点での方向スペクトルの詳細を検討し、確率密度関数を導く予定である。そのために、高次スペクトル法(High Order Spectral Method)を用いたモンテカルロシミュレーションを行い、方向スペクトルと波高の確率密度関数との関係を探る。また、得られた波形について分析し、フリーク波が真に危険な波であるかどうかを、検討することを考えている。一方、波浪の発達に非線形性が重要であることが分かってきた。局所的に非線形性がさらに強調され、どのような動学的な特異性(特に流速)が生じるかを数値計算と実験により検討する。
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[Presentation] Spectral evolu-on2012
Author(s)
Toffolil, Waseda, Cavaleri
Organizer
Water Waves in Shallow Water Environment (WISE), 19th
Place of Presentation
Barcelona, Spain
Year and Date
2012-04-17
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