2009 Fiscal Year Annual Research Report
"未来の生態系"天然二酸化炭素噴出地を利用した植物の高二酸化炭素適応の研究
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20677001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
彦坂 幸毅 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10272006)
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Keywords | 地球環境変化 / 適応 / 局所進化 / 生態系応答 |
Research Abstract |
植物が高CO2環境に適応するか、適応するとすればどのような性質が変化するのかを知るために、天然CO2噴出地に生育する植物と、世界各地に分布するシロイヌナズナのエコタイプを用いて生理生態的・集団遺伝学的研究を行った。 気孔に関連した葉の形態が高CO2への適応によって変化するかを調べるため、青森、秋田、山形、富山の天然CO2噴出地付近の高CO2域と通常CO2域からオオバコ種子を採取し、発芽させ、東北大学実験圃場にあるオープントップチャンバーにて二つのCO2濃渡(通常および700ppm)で植物を育成した。シリコンラバーを用いて葉の型を取り、気孔のサイズ、密度、頻度を測定したところ、高CO2域由来の個体の気孔サイズがわずかに小さい傾向にあることを発見し、高CO2域への適応によって気孔が小さくなった可能性が示唆された。この他、オオバコの遺伝子を抽出し、集団遺伝学的解析や、現地にて枯葉の分解実験などを行っており、結果は現在解析中である。 遺伝的性質の違いによって高CO2応答にどのような違いがあるかを知るために、様々な緯度・標高から得られたモデル植物シロイヌナズナの44エコタイプの種子を発芽させ、その個体を用いて成長解析を行った。エコタイプ間では、同一のCO2濃度で最大3倍の個体重量のばらつきがあり、成長量のCO2応答にも2倍以上のばらつきがあった。これらのばらつきの原因は主として葉面積あたりの成長量のばらつきに帰せられ、光合成特性にエコタイプ間差があることが示唆された。
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Research Products
(12 results)