2011 Fiscal Year Annual Research Report
"未来の生態系"天然二酸化炭素噴出地を利用した植物の高二酸化炭素適応の研究
Project/Area Number |
20677001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
彦坂 幸毅 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (10272006)
|
Keywords | 植物 / 適応進化 / 二酸化炭素濃度上昇 / 成長解析 / 競争 |
Research Abstract |
青森・秋田・山形にある天然二酸化炭素噴出地(それぞれ湯ノ川・小坂・朝日)周辺の高二酸化炭素濃度域と通常二酸化炭素濃度域から採取したオオバコ種子を発芽させ、同一ポット内で混植し、二つの二酸化炭素濃度で育成させる競争実験の二年目を行った。地上部の生産量と種子生産量を測定した。その結果、種子生産量については採取した二酸化炭素濃度と生育した二酸化炭素濃度の交互作用が有意であることが見出された。このことは、高二酸化炭素濃度域から採取した個体は高二酸化炭素濃度で育成した場合に、より競争的になることを反映していると考えられた。さらに、このことから、高二酸化炭素濃度域に分布するオオバコが高二酸化炭素濃度環境で競争的になるよう適応進化していることが示唆された。 シロイヌナズナ44エコタイプの成長解析をすでに行っているが、解析結果をより統計的に高度に理解するために、構造方程式モデルを適用し、さらに詳細な解析を行った。相対成長速度のエコタイプ間のばらつきに対し、最も大きく影響する形質が葉窒素あたりの生産速度であること、葉面積あたり葉重は相対成長速度に対して正の効果と負の効果の両方が存在し、互いに相殺することによって見かけの相関がなくなることを見出した。さらに、同じエコタイプを用いて光合成解析を行い、葉窒素あたりの生産速度のばらつきが、光合成窒素利用効率のばらつきに由来することを見出した。 シロイヌナズナエコタイプの競争実験を開始した。20エコタイプの各20種子を同一ポットに混植し、高二酸化炭素環境で勝ち残るエコタイプを探索する。競争実験は終了し、現在勝ち残った個体の遺伝子型の特定を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響により冷凍サンプルの喪失などが生じ、若干の遅滞が認められる。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験計画の改善により今年度生じた遅れを次年度でカバーできる見込みである。
|
Research Products
(7 results)