2008 Fiscal Year Annual Research Report
巨大複雑天然物から展開する科学-新全合成戦略開発・生体機能の解析と制御
Project/Area Number |
20679001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 将行 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70322998)
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Keywords | 天然物 / 全合成 / 官能基導入 / 生物活性 / 生体機能 / 対称性 / 四級炭素 / 分子内反応 |
Research Abstract |
分子量500を超える巨大複雑天然物は、強力かつ選択的な生物活性を持つ。一方、これら天然物の全合成と機能化には、現代科学が解くべき大きな課題がある。申請者は本研究において、このような巨大天然物の全合成の超効率化のための独創的戦略・方法を確立し、現在ある合成論理を進化させ高度一般化する。平成20年度は、複雑な基質に利用できる直接酸化反応、0,Se-アセタールを用いる効率的な炭素環構築反応を開発した。また、複雑天然物であるリアノジン、トリプニンAとレジオシドGに関して、合成研究を遂行した。 直接酸化反応の開発 Mn触媒とmCPBAとの組み合わせ、あるいはmCPBAとトリクロロアセトニトリルとの組み合わせによって、エーテルのC-H結合が直接的に酸化され、ケトンが得られることを見出した。また、ジオキシラン発生源として働くトリフルオロケトン部位を導入した置換基を設計し、分子内C-H結合酸化反応を試みたところ、浩性化を受けていないC-H結合の酸化にも成功した。開発した新方法論を全合成の新しい基盤技術としたい。 O,Se-アセタールを用いる炭素環構築反応の開発 O,Se-アセタールを用いる炭素環構築反応の開発Pummerer反応によって効率的にO, Se-アセタールが形成できることがわかった。また、得られたO,Se-アセタールからは、室温以下でラジカルを発生でき、効率的な炭素環構築が可能であった。 リアノジンの合成研究 リアノジンは、全合成が極めて困難な巨大複雑天然物の代表例であり、細胞内カルシウム濃度を調節するイオンチャネル(リアノジンレセプター)の開閉を制御する。本年度は、分子の対称性を応用する新合成戦略により、6個の連続四置換炭素を有する合成中間体の構築に初めて成功した。 トリプニンA・レジオシドGの合成研究 トリプニンA、レジオシドGは、重要な生物活性を有するが、全合成例は存在しない。これら複雑な天然物に対して、それぞれ異なる新戦略を用い、多酸素官能基化された中間体の合成を行った。
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Research Products
(10 results)