2009 Fiscal Year Annual Research Report
巨大複雑天然物から展開する科学-新全合成戦略開発・生体機能の解析と制御
Project/Area Number |
20679001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 将行 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70322998)
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Keywords | 天然物 / 全合成 / 官能基導入 / 生物活性 / 生体機能 / 収束的合成 / 網羅的合成 / 分子内反応 |
Research Abstract |
申請者は、分子量500を超える巨大複雑天然物の全合成の超効率化のための、独創的戦略・方法と高度一般化を目指している。平成21年度は、複雑な基質に利用できる直接酸素官能基化・炭素官能基化反応の開発に成功した。また、複雑天然物であるリアノジン、ハイポニンBとレジニフェラトキシンの重要合成中間体の構築法を開発した。 直接酸素官能基化・炭素官能基化反応の開発 前年度に開発したエーテルのC-H結合酸化能を持つMn触媒-mCPBA複合系が、ベンジル位C-H結合の酸素官能基化に有効であることを新たに見出した。次に、mCPBA-トリクロロアセトニトリル複合系のエーテルのC-H結合酸化能について詳細な検討を行った。反応はラジカル経由であることと、変換対象であるC-H結合の立体・電子的な環境が大きく反応の進行に影響を及ぼすことを明らかにした。また、光反応を利用したC-H結合の直接アシル化反応に成功し、炭素環上の炭素官能基化を実現した。アシル化反応は、さらなる炭素骨格の構築の足がかりとなる官能基を導入できる点で極めて意義深い。 巨大複雑天然物の合成研究 リアノジン・ハイポニンB・レジニフェラトキシンは、重要な生物活性を有する巨大複雑天然物である。これらの全合成が極めて困難な分子に対してそれぞれ異なる新戦略を活用し、多酸素官能基化された中間体の合成に成功した。 まず、反応性の高い橋頭位ラジカルを用いる合成戦略を開発し、7連続四置換炭素を有するリアノジン5環性構造の構築に初めて成功した。次に、ハイポニンBの連続した二つの四置換不斉炭素を、ヒドロキシピロンを用いたDiels-Alder反応によって1工程で構築した。さらに、キノン誘導体とRawalジエンとのDiels-Alder反応によって高立体選択的に得たcis-デカリンから立体選択的な様々な反応を経て,レジニフェラトキシン重要中間体を合成した。
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Research Products
(46 results)