2011 Fiscal Year Annual Research Report
認識機構に着目した感染とがんに対する生体防御システムの分子機構の解明
Project/Area Number |
20679003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高岡 晃教 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30323611)
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Keywords | パターン認識受容体 / DNA / 感染 / がん / 生体防御 |
Research Abstract |
昨年度,ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)スーパーファミリーに着目し,核酸刺激によるI型IFNをはじめとするサイトカインやケモカインの発現誘導などの自然免疫応答を増強する新たな調節因子としてPARP-13のアイソフォーム"ZAPS"を同定した.まずZAPSについて,近年報告されているIFI16やAIM2などによる細胞質DNA認識経路との関連性について検討を進めたが,ポリメラーゼIII-RIG-Iを介する応答を誘導することで知られているB型DNAを除いて,いずれにおいても明らかな関連性はみとめられなかった.一方,RLRファミリーのMDA5を介する細胞質RNA刺激による自然免疫応答にZAPSが関与していることを示唆する結果がえられており,そのメカニズムについて検討中である.さらに今年度,PARP-13以外のいくつかのPARPスーパーファミリーメンバーについて検討した結果,PARP-7/TIPARがRIG-Iシグナル経路を負に制御することを新たに見出した.おそらくTBK1キナーゼとリガンド依存的に会合することで,その下流のIRF-3やNF-kB転写因子の活性化を阻害し,I型インターフェロンや炎症性サイトカインの誘導を抑制していることが示唆された.またRNAウイルスによる感染に対する自然免疫応答を抑制し,感染防御に対して負に調節していることが示された.一方,PARP-7/TIPARは,ダイオキシンなどの受容体で知られるアリール炭化水素受容体(AHR)を介するシグナルの下流で誘導されることが知られており,今後ダイオキシンななどAHRを介する免疫抑制という観点から,PARP-7/TIPARの役割を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度につづいて,今年度も細胞質核酸認識機構に関する解析の研究計画において,PARP-13以外のいくつかのPARPスーパーファミリーメンバーについて検討を進めた結果,細胞質核酸認識経路に関与する新しいシグナル制御因子として,PARP-7/TIPARを同定することができた.さらにZAPSのインフルエンザウイルス感染における新規の役割をウイルスの自然免疫回避という観点から見出し,また,HCMVの新たなセンサーを同定しつつあることから,研究進行状況としては,ほぼ順調に進展していると判断したため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き自然免疫核酸センサーを介するシグナルの制御因子の同定について,細胞質DNA認識機構を主体に,解析を進める予定である.とくに人工的に作製した様々な形状のDNA種を用いたアプローチも取り入れて推進させる方向で考えている.ZAPSについては,作製したトランスジェニックマウスを解析することで,in vivoにおける役割を検討する予定である.DNAウイルスであるHCMWの細胞質DNAセンサーおよびそれに対するCMVのウイルス側因子を中心とした自然免疫核酸認識機構への制御機構について,詳細な検討を進めることを計画する.また,現在,次年度は最終年度として,これまでに見出した結果について,論文や学会発表という形でまとめる予定である,
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Research Products
(3 results)