2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20679004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石川 文彦 The Institute of Physical and Chemical Research, ヒト疾患モデル研究ユニット, ユニットリーダー (30403918)
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Keywords | 白血病幹細胞 / ヒト化マウス / 急性骨髄性白血病 / 幹細胞 / ニッチ / 細胞周期 / 共焦点イメージング |
Research Abstract |
われわれは、成人の造血器悪性疾患である急性骨髄性白血病について、その再発のメカニズムと再発を引き起こす幹細胞の特性をあきらかにすることを目的に研究を実施している。急性骨髄性白血病をヒト化モデルマウスに再現することで、白血病幹細胞がosteoblastic nicheに多く局在し、化学療法抵抗性を示す知見を報告した。このニッチにおける幹細胞の局在について、初年度に導入したLSM710を用いて、ヒト白血病細胞を標識するhuman CD45に対するモノクローナル抗体と細胞周期のマーカーであるKi67を標識する抗体を用いて、白血病を発症したレシピエントマウスの骨切片を染色した。その結果、ヒト白血病細胞でほぼ完全に置換された骨髄内においても、骨髄の場所に依存した細胞周期の違いを見出すことに成功した。骨髄中央に存在する白血病非幹細胞集団は、Ki67陽性で細胞周期に入っている一方、osteoblastic nicheに存在する白血病幹細胞は細胞周期の静止期(GO)にとどまっていることが分かった。これまでのマウス幹細胞ニッチ研究であきらかにされた骨髄内のもうひとつの主要なニッチであるperivascular nicheについても、ヒト白血病細胞の細胞周期を解析したが、多くは細胞周期に入っていた。すなわち、ヒト急性骨髄性白血病においては、白血病幹細胞の多くがosteoblastic nicheに存在し、細胞周期が静止することによって、抗がん剤抵抗性を示すと考えられた。さらに、治療抵抗性を克服する手段として、幹細胞とニッチの結合を阻害するサイトカインや抗体を用いた幹細胞の細胞周期の修飾を試みた。その結果、G-CSFを用いて、幹細胞の細胞周期が導入されること、細胞周期が入ることによって抗がん剤に対する感受性が高まること、2次移植によって白血病発症能を伴う機能的幹細胞が確かに減少することを明らかにした。患者由来白血病幹細胞を用いてヒトの白血病状態を再現したヒト化マウスを用い、治療をモデル化することによって、臨床へのtranslationの可能性について、さらなる検討を加え、白血病幹細胞とニッチの結合を分子レベルで解析することを次年度の目的とする。
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Research Products
(6 results)