2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20679004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石川 文彦 独立行政法人理化学研究所, ヒト疾患モデル研究ユニット, ユニットリーダー (30403918)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / 幹細胞ニッチ |
Research Abstract |
22年度は、実施計画での予定より10症例以上多くの白血病幹細胞の純化ならびに免疫不全マウスを用いたヒト化モデルマウスの作製を行った。末梢血中のヒト白血病細胞のキメリズムをフローサイトメトリーにて3週間毎に解析することで、急性骨髄性白血病の病態完成時と病態形成途中の両時期に骨髄を解析した。病態完成時に、骨髄中心部に存在する幹細胞以外の白血病細胞が細胞周期に入っている一方、白血病幹細胞は、骨内膜周辺にてKi67陰性から弱陽性のものが多く、細胞周期が静止期に近いことが確認された。多様な症例から得られた白血病細胞をフローサイトメトリーでも解析した結果、FAB分類、MDSの病歴有無にかかわらず、細胞周期の静止と抗がん剤の関係は、急性骨髄性白血病の幹細胞に共通する性質と考えられた。さらに、骨内膜周辺だけでなく、血管周囲においてもCD34など表面抗原分子の発現とKi67など細胞周期に関連する分子の発現について解析を進めた。血管周囲にCD34陽性白血病細胞は存在し、多くはCD38陽性の細胞であった。細胞周期に関しては、Ki67強陽性の白血病細胞が豊富に存在し、骨芽細胞ニッチと血管周囲のニッチの白血病幹細胞に関わる性質の違いが考えられた。ニッチにて抗がん剤抵抗性を示す白血病幹細胞への治療方針のひとつとしてニッチとの結合阻害とそれに伴う細胞周期の修飾についてさらなる検討を進めた。G-CSFを用いて骨芽細胞に接着する白血病幹細胞の細胞周期が誘導する現象をさらに確認したものの、症例間でのG-CSF感受性の違いも認められる。G-CSFで白血病幹細胞の抗がん剤感受性を高められない症例について、ほかのサイトカイン、ケモカイン受容体の発現解析を進め、個別の患者に最適な白血病幹細胞性質修飾の可能性を検討した。
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Research Products
(5 results)