Research Abstract |
行為知能と対話知能の融合に向けて,ユーザの取る行動の観察に基づいてその行動戦略を学習するロボットにおいて,ユーザへの質問や確認などの発話行為と,ロボット自身の行動決定の双方を同時にプラニングすることのできる手法をBayesian Networkに基づいて構築した.具体的には,移動ロボット上での複数のセンサ情報とロボットの移動方向の間の関係をBayesian Networkで表現し,センサ情報に応じて取るべき移動方向の推論を,確率値と確信度の双方で評価した.確信度の高低による発話行為の制御し,確率値の高低による移動方向の制御で行為知能と対話知能の融合に対する基盤を構築した.特に,ユーザとの対話経験が十分に蓄積されていない際には,確信度が低い傾向が高く,自律行動の決定より先に質問や確認が出力されてしまう問題点があったため,これを防ぐためにディリクレ分布によって確信度を評価する手法を導入し,学習が開始された直後の経験が不足している状況においても,適切に発話行為と自律行動の決定が融合されることを,実際の移動ロボットを遠隔操作するアプリケーションを通じて確認した.一方で,人間の全身運動パターンと言語表現との相互変換モデルでは,運動パターンの変化とその言語的な表現を,原始シンボル空間法と呼ばれる手法で1つのパラメータで記述する手法を考案した.この手法では,時系列運動パターンを位相空間上の状態点として表現し,複数の運動パターン間の関係を位相構造で表現する.ロボットが人間にある動作を教示する際に,動作の提示と言葉による二つの表現を統合させて教示する状況を設定し,人間の行った実演に間違いがあった場合に,その問題の箇所を強調して修正すべき度合いを位相空間上の実演動作と目標動作間の距離で計測し,その距離を,「もっと」や「ちょっと」という修正度合いを表す言語表現の生成と,修正に必要となる強調運動の生成の双方に用いる手法を提案し,被験者実験を通じてその有効性を確認した.
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