Research Abstract |
本研究では, 「表出知」を知能の内面を表出することと定義し, コミュニケーションにおける表出知に関して, 以下の研究・開発を行った. 1. シンプルリカレントニューラルネットワーク(SRN)を用いた性格表現システムの提案 本モデルを用いることで, 1)基本的な表情を作るだけでそれに類似した表情を自動的に生成できる, 2)ロボットの持つ違和感や不自然さを軽減できる. 1)によって, 表情の作り込みの手間をある程度省くことができ, 2)によって, 人に対して親和性を高められる. 本モデルを導入したifbotと人とのインタラクションを評価した結果, 従来的な表情「表出に比べ, より良い印象をユーザに与えることが示された. 2. アージ理論に基づく自己充足システムの提案 自らの維持は, 直感的には, このように自己的に行われると思われがちだが, 実世界に目を向けると「他者的」に行われる場合も数多く見受けられる, そのうちの一つに赤ん坊の自己充足の方法が挙げられる. 人の赤ん坊は, 母親という絶対的な依存者を有しており, 母親を介して自己充足性を満たしている. すなわち, 赤ん坊は, 心理・生理状態の不安定さや身体状態の不調を, 顔表情や身体動作で表現することで, 母親にその状態を察知して「もらい」, 自らの状態を改善している. そこで, この考えに基づき, アージ理論の概念を発展させたアージ・システムを応用した自己充足モデルを提案した. 3. 赤ちゃん人形ロボットBabyloidの開発 要介護者はよい介護を受けていても, 自立を失い介護者に依存せざるをえない状況に大きな心理的苦痛を受けているという問題がある. これは, 「介護する側」から「介護される側」へと役割が移行するという, 老年期の役割移行に伴うストレスの1つであり, 多くの高齢者が持つ問題である. そこで本研究では, 要介護者の心理的苦痛を緩和するために, 要介護者に介護されるロボットBabyloidの開発を試みた.
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