Research Abstract |
本研究では,「表出知」を知能の内面を表出することと定義し,コミュニケーションにおける表出知に関して,以下の研究・開発を行った. (1) 自己充足ロボットBabyloidの評価 2009年11月11日に行われた愛知県主催「あいROBO応援キャラバン(介護ふれあい広場)」イベントならびに,2009年12月16日に行われた愛知県主催「あいROBO応援キャラバン(福祉の現場編2)」イベントにロボットを展示し,アンケート評価を行った. (2) 自己充足ロボットBabyloid2号機の開発 上記のアンケート評価に基づき,人のインタラクションに密接に関わる(1)形状デザイン,(2)表情表出システムデザイン,(3)福祉工学デザインについて問題点を洗い出し,プロトタイプ2号の開発を行った. (3) アージ理論を応用した自己充足システムの評価 人の赤ん坊は,母親という絶対的な依存者を有しており,母親を介して自己充足性を満たしている.すなわち,赤ん坊は,心理・生理状態の不安定さや身体状態の不調を,顔表情や身体動作で表現することで,母親にその状態を察知して「もらい」,自らの状態を改善している.そこで,この考えに基づき,アージ理論の概念を発展させたアージ・システムを応用した自己充足モデルを提案した.自己充足システムを実装したソフトウェアロボットを利用した際の「共生感」や「充足感」,「存在感」への影響を調査した.その結果,ロボットの身体負荷量を判別できる表情を生成することが重要であり,ユーザのアプローチに対してロボットが適応的な表現を行うと,ユーザは全体的に快方向への心理的作用を得るということが示唆された. (4) Mechadroid Type C3ロボットの表情の生成 受付ロボットMechadroid Type C3の顔パーツの配置を評価したところ,「ベビーシェマ的なかわいい顔」「おしとやかな顔」「ニコニコした笑顔」がその相貌として適していることが示された.
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