2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高次元複雑ヘテロデータ解析に基づく柔軟かつ頑健な非線形統計的モデリングの研究
Project/Area Number |
20680016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井元 清哉 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10345027)
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Keywords | 超高次元データ / ヘテロデータ / 情報統合 / ベイズモデル / 階層モデル |
Research Abstract |
平成22年度は以下の2点の研究成果を得た。 [1]遺伝子発現データと遺伝子機能、共通の転写因子からの制御、共通のパスウェイ、染色体上の位置情報、共通の疾患における関連などさまざまな情報から定義される遺伝子セットを合わせた解析として、遺伝子発現データの解釈を行い、機能的な遺伝子セットを探索するGene Set Analysisは、近年着目を集めている。しかしながら、従来の方法は、サンプルラベルを利用する教師有り学習で定式化されたものが大部分を占め、また、教師なし学習においては特定のモデルを仮定したものであった。サンプルラベルに依らない複雑な遺伝子発現の協調性を捉えるため、(1)BEEMと名付けたBiclusteringに基づく部分サンプル共発現遺伝子探索手法を開発した。これにより、大規模かつヘテロなデータにおいてサンプルラベルの信頼性を問題にすることなくサンプルサブタイプにおける機能的遺伝子セットの自動抽出が可能となった。また、(2)BEEMは正規分布のような楕円分布を発現データに仮定するモデルと同値な計算プロセスにより解析を行うが、特異値分解を利用したモデルを仮定しない機能的遺伝子セット探索手法MIEAを開発した。これにより、より複雑な相関構造をモデルの仮定無く探索することが可能となった。 [2]細胞内システムのシミュレーションモデルの構築は、システム生物学における重要な研究課題の一つであるが、現在は、文献により裏付けられた、堅いネットワークにおいて反応パラメータを遺伝子発現データやタンパク質発現データを利用し推定することに研究の力点は置かれている。しかしながら、文献から構成されるネットワークは完全ではない場合がほとんどである。そこで、あらかじめ生物学的な知識を用いて、プロトタイプである文献ネットワークから可能性のあるネットワーク構造を自動的に生成し、それぞれのネットワークにおいてパラメータ推定を行いプロトタイプモデルよりも良いモデルを探索する手法を開発した。
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Research Products
(4 results)