2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20680020
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
鮫島 和行 Tamagawa University, 脳科学研究所, 准教授 (30395131)
|
Keywords | 意思決定 / 報酬 / 大脳基底核 / fMRI / 強化学習 / 注意 |
Research Abstract |
我々人間を含む動物は、多くの刺激情報から、自らの行動選択に有効な状態変化を検出し、適切な状態認識の下で意思決定を行うことができる。これらの注意と階層的意思決定の神経機構を明らかにするために、色と形の2つの属性からなる2種類の図形から1つを選択させる意思決定課題をヒトを被験者として行わせ、functional magnetic resonance imaging fMRIを用いた非侵襲計測技術によって、これらの図形と報酬の関係の学習中・学習後の脳活動を計測した。画面に表示される2種類の図形は、4種類の色、4種類の形からなる16種類の図形からランダムに選択されて提示される。被験者は色または形に応じた報酬金額に基づいてより大きな報酬を得る図形を選択する。この図形提示に先立って図形の色の組み合わせ、または形の組み合わせのみを先行して提示すると、被験者の選択は報酬に関連した情報の提示によってその反応時間を早めた。被験者には脳活動計測前に十分報酬と図形の属性との間の関係性を学習させた。この学習後の脳活動において、先行情報から報酬が予測できる場合に腹側の線状体において報酬の予測に相関する活動がみられた。さらに、それらの報酬予測に基づいて意思決定を行わせた時の活動が、意思決定を行わせなかった場合の活動に比べて大きい脳領域を探索したところ、内側前頭葉、特に前帯状回に活動がみられた。これらの結果から、図形情報による報酬予測が腹側線状体において表現され、前帯状回皮質を含む神経回路が価値に基づく意思決定に関わる可能性を示唆する。
|