2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20680020
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
鮫島 和行 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30395131)
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Keywords | 意思決定 / 報酬 / 大脳基底核 / 神経生理 / 強化学習 / 注意 / fMRI |
Research Abstract |
行動や運動の決定には、大脳基底核が重要な役割を果たすことが示されてきている。一方で、行動計画や目標の選択などの高次認知機能には前頭前皮質などの大脳皮質の機能と考えられてきていた。解剖学的に前頭前皮質領域とループ結合を持つ大脳基底核の部分が存在から、運動のみならず認知機能についても大脳基底核の重要性が指摘されている。本研究では、運動を発現させるための意思決定のみならず、一時的な記憶や注意といった認知的な意思決定についても大脳基底核が主要な役割を担うのではないかという仮説に基づき、大脳基底核における大脳皮質からの入力部位である線条体からの神経活動記録を行い、より多くの報酬を得るような行動決定課題を遂行中の大脳基底核の役割について調べた。その結果、前頭前野から投射をうける前方尾状核において、運動を決定することはできないが目的とする刺激を選択する時期に一過性の活動がみられ、その活動は外部から強制されるときよりも報酬を予測し比較することが処理を必要である課題においてより強くなることをみいだした。さらに、その刺激に応じた報酬量を予測することができる神経細胞活動が、後方の線条体よりも多く存在していた。一方で、運動を決定することができる時期やその実行時期には、前方、後方でも同様に運動の決定に関連した細胞活動が存在した。このことは、前方線条体が前頭眼窩皮質や前帯状回皮質、背外側前頭前野などの領域から投射を受けて認知的に目標刺激の価値を比較し選択する過程に関わるのに対して、被殻は運動前野などの高次運動関連領域からの投射を受けて運動の意思決定に関与することを示している。この研究結果は、認知と運動の並列的意思決定が大脳皮質-大脳基底核の並列ループによって担われている可能性を示している。
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