2010 Fiscal Year Annual Research Report
選択的単一胚移植(eSET)へ向けた体外受精卵の品質モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
20680026
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村山 嘉延 日本大学, 工学部, 准教授 (80339267)
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Keywords | 卵子 / 透明帯 / 不妊治療 / ヒト生殖補助医療 / 生体弾性率 / マイクロタクタイルセンサ / 卵子成熟 / ラマン分光法 |
Research Abstract |
平成22年度には、透明帯の物理化学的特性の変化から受精卵の品質を"安全に"測定するための新しい手法の開発として、下記2点の研究を行った。 (1)受精前・受精後早期の段階における受精卵品質評価について これまでに明らかにされていない未受精卵透明帯の弾性率変化(MTSによる弾性率測定試験)・酵素耐性試験(ケモトリプシンを用いた溶解試験)を行い、未受精卵の成熟過程における透明帯の特性変化を初めて明らかにした。未成熟GV卵と成熟MII卵において、それぞれの試験結果は25.42±8.68(kPa)と326±24(分)、及び8.39±3.81(kPa)と4.2±1.7(分)であり、弾性率・溶解時間共に優位に軟化する現象「透明帯軟化」が示された。加えて、弾性率及び溶解時間の変化が透明帯硬化ではそれぞれ2倍と106倍であるのに対し、透明帯軟化では3倍と78倍であり、透明帯硬化現象と軟化現象が異なる化学的変化による結果である可能性を示唆した。 (2)光を用いた非接触法の開発 生体組織に対するMTS弾性率測定法と、異なる物理化学的測定法との関係を検討するために、福屈折の測定に加えて、ラマン分光法との比較検討を行った。具体的には、前立腺を用いた管腔、上皮、間質組織の分類精度がMTS73.0%、ラマン80.4%となり、精度の上ではラマン分光法の有用性が示されたものの、両者を組み合わせることにより81.1%と精度が向上したことから、測定手法を組み合わせることにより受精卵品質をより精度高く評価できる可能性が示された。
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