2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習モデルによるバーチャルリアリティ片麻痺上肢訓練システムの開発と効果検証
Project/Area Number |
20680030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古澤 義人 Tohoku University, 病院, 医員 (70396498)
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Keywords | リハビリテーション / 脳・神経 / 医療・福祉 / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
昨年度に製作したシステムを利用し、被検者を用いた実施テストを行ない即時効果の検討を行なった。対象は、脳卒中片麻痺患者Brunnstrom stage III以上とした。 訓練内容は、画面上に提示されるバーチャルな手の動きに対応し、被検者の麻痺側上肢により動作の模倣を机上にて行なうものである。遂行動作は、ターゲットへの到達動作、手関節の背屈・底屈動作、肘関節の回内・回外動作を要求される。画面上の提示内容としては、1種類の模倣動作、複数の動作の組み合わせ、記憶に基づく動作を設定した。この他に、モグラたたきゲームを実施した。 1回の訓練は10分程度で被検者のペースで行なった。画面上の模擬手がある場合、無い場合での比較を行なったところ、わずかに模擬手がある場合の方が動作はスムーズとなる傾向が見られた。課題の組み合わせ方による比較は明らかな差が無かった。訓練前後による動作評価では明らかな差がなかった。 課題遂行上の問題点として、片麻痺stageの低い患者ほど上肢の屈曲パターンが誘発され、長時間の課題実施が困難であると共に、体幹動作による代償を要した。屈曲パターンの誘発は、動作範囲を小さくすることによって減少した。また、長時間の訓練は疲労のため行えなかったが、モグラたたきゲームに関しては、繰り返し行える傾向があった。 今回は、長期的な訓練効果の検証が出来ず単回の即時効果の評価にとどまったが、バーチャルリアリティ技術を用いた模擬手の提示により上肢動作が容易に行える可能性が示唆された。またゲーム要素を取り入れることにより、長時間の実施が可能であることが考えられた。今後、訓練要素のさらなる検討と長期介入効果を検討する必要がある。日常診療で導入できる簡便な片麻痺上肢の訓練システムにおいて、模倣動作による訓練効果の可能性を示した。
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