Research Abstract |
本研究の目的は,無麻酔・無拘束動物を用いた実験に関する諸問題を排除したテレメトリー(小型体温計の埋め込み)法と脳内マイクロダイアリシス(微量透析)-HPLC法を用いて,運動時の高体温と中枢性疲労の相互連関における脳内神経伝達物質の役割を明らかにすることであった. 本年度は,前年度に引き続き実験環境を整備することが第1の目的であった.具体的には,これまでに本研究者が用いてきた方法であるテレメトリー及びマイクロダイアリシス法と小動物用呼吸代謝計測システムとを組み合わせて,ラットの深部体温,皮膚温,熱産生量,及び脳内の神経伝達物質の変動を安定して測定できるように調整した.その結果,安静時及びトレッドミル運動時において,ラットの酸素摂取量,二酸化炭素排泄量,及び呼吸商を連続的に測定することに成功した. また本年度は,異なる運動強度及び環境条件において体温,皮膚温,熱産生量,及び脳内の神経伝達物質を連続的かつ同時に測定することを第2の目的として設定した.その結果,中立温度(23℃)条件における低,中,及び高強度トレッドミル運動において,腹腔内深部体温,熱産生反応,及び熱放散反応は運動強度に伴って上昇することを観察した.また,これらの体温調節反応に伴って視床下部内のカテコールアミン濃度が上昇することを観察することができた.しかしながら,暑熱環境下(30℃)におけるこれらの測定や運動時の薬理刺激の効果については,明らかな結果を出すことができなかった.従って次年度は,これらの確立した方法を暑熱環境下及び運動時の薬理刺激実験において用いる予定である.
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