2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期の運動習慣形成に関わる運動歴と心身機能要因の包括的縦断研究
Project/Area Number |
20680034
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
小坂井 留美 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究生 (20393168)
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Keywords | 運動習慣 / 抑うつ / 高齢者 |
Research Abstract |
今年度は,高年期の運動習慣に関連する心理学的要因の検討を行った. 対象は,国立長寿医療研究センター予防開発部の行う「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第四次調査に参加した60歳以上の男性523名,女性461名であった.運動習慣および喫煙歴,婚姻歴,既往歴等の生活習慣,健康状態は質問紙と面接により確認した.心理学的要因は,抑うつについてCenter for Epidemiologic Studies Depression (CES-D) Scaleの日本語版を用いて検討した.CES-D得点が16点以上の場合を抑うつと定義した. 主な結果は以下に示す. 1)運動習慣の有無と抑うつとの関連 運動習慣の有無で2群に分け,CES-D得点を比較した.男性では,運動習慣の有る人は無い人に比べ有意にCES-D総得点,対人関係以外の各下位尺度得点が低かった(t検定;p<0.05).抑うつと判断される人の割合は,運動習慣の有る人(10.7%)は無い人(19.9%)に比べ有意に低かった(χ2検定;p<0.05).女性では,CES-D得点,抑うつの人の割合ともに運動習慣による差は認められなかった. 2)運動習慣に対する抑うつの影響 60歳以降の運動習慣を目的変数,CES-D得点を説明変数としたロジスティック解析を行った.男性において,抑うつを有する場合は運動習慣を有する確率が約52%低くなることが示された.生活習慣や健康状態を調整した解析を行ったところ,抑うつは運動習慣と有意な関連を示さなかった.女性では,調整の有無にかかわらず,抑うつと運動習慣との関連は認められなかった. 本研究により,男性において抑うつは高齢期の運動習慣に関連するが,生活習慣や健康状態の修飾を受けること,女性において高齢期の運動習慣と抑うつは関連しない可能性が示された.
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Research Products
(1 results)