2009 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶成分、特にカテキン類による感染防御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20680035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 清雄 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00368292)
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Keywords | 自然免疫 / 感染症 / 生理活性 |
Research Abstract |
日本国内における茶系飲料の生産量は増加している。このことから、多くの日本人が日常的に茶を飲用していることが示唆される。近年、茶を用いた研究がさかんに行われ、胃癌の発症率を低下さたり、血中コレステロールを低下させたりする疫学的研究やそれらの結果を裏付ける分子メカニズムが詳細に検討され、科学的に茶の有効性が明らかとなりつつある。本研究においては、生体防御に関わる免疫応答、特に自然免疫系に対する影響について調べている。昨年度に引き続きウイルス感染防御に関与する自然免疫系、特にI型インターフェロン(IFN)の産生の観点から、分子メカニズムの検討をおこなった。IFN産生のtriggerとして、細胞表面にはToll-like受容体(TLR)を介してウイルスを含む病原微生物認識する経路や細胞内でウイルス由来のDNAやRNAなどの核酸認識受容体を介する経路が知られている。特に細胞内でウイルス由来の核酸を認識する経路においては、近年新しい知見が報告されつつあり、B-DNA(合成DNA)を細胞内へ投与すると、それを鋳型として5' triphosphate RNA(3pRNA)が合成され、核酸受容体であるRIG-Iを介してIFN産生が誘導されることが報告された。本研究においては、昨年B-DNAによるIFN産生を増強する新しい分子を見いだしたことから、B-DNAのみならず、他の核酸による刺激でIFNが増強されるのかどうかを検討したところ、mRNA発現レベル・タンパク質レベルで増強を確認することができた。さらに、見いだした分子は、TLRを介したsignalを増強することはなかった。この分子は、細胞内で核酸認識に重要な役割を担う分子であることが示唆され、トランスジェニックマウスを作製して生体における機能解析をおこなっている。今後、このマウスを用いて、ウイルス感染と茶カテキンの効果を調べていく中で、新しい分子メカニズムを明らかにし、疾患を予防またはコントロールする新たな標的分子としての可能性を検討していきたいと考える。
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Research Products
(4 results)