2008 Fiscal Year Annual Research Report
生徒の紙への筆記を活用する学習支援システムの実践的検証
Project/Area Number |
20680036
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
三浦 元喜 Japan Advanced Institute of Science and Technology, 知識科学研究科, 助教 (00334053)
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Keywords | 教育の情報化 / デジタルペン / 実世界指向 / 一般教室の拡張 / 学習環境 |
Research Abstract |
紙のドットパターンを, ペン先に内蔵された小型カメラで読み取る方式(アノト方式)のデジタルペンを用いると, 一斉授業における学習者の紙への自然な筆記を, 時系列情報を含めて正確に電子化し, かつリアルタイムに集約し, 分析・提示が可能となる. このデジタルペンという新たな「教具」によって実現される筆記活用型授業の有用性と可能性を追求しつつ, またその活動がもたらす学習者の学びに与える影響・効果を測るため実証実験を行っている. 平成20年度は1クラスの生徒人数分のデジタルペンとプロジェクタ, 研究代表者が開発した筆記集約・提示ソフトをインストールしたPCを青森県の小学校と埼玉県の高校の教室に配備し, 実験授業を行った. 現在までに小学校では6回, 高等学校では3回試用し, 高校の生徒には5人1組のスモールグループインタビューを3組, および教師に対する半構造化インタビューを実施した. その結果, 教師は, 通常の授業と比べて生徒の状況が速やかに把握できるようになったことに加え, 学習者のまとまっていない初期の思考過程や試行錯誤を取り上げることができるようになったと報告した. 一方, 生徒たちは授業に対する参加意欲が増進したものの, プライバシー侵害に対する不安があることを口にした. また小学校における実践からは, 全員の答えを同時に提示するより1名ずつ個別に提示していくほうが授業に対する緊張感や抵抗感を軽減できることがわかってきた。デジタルペンを利用した授業は学習者に楽しさを感じさせる半面, 筆記が消せないことによる抵抗感は少なからずあるため, 今後こうした問題点に対応する.
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