2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20680038
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
日高 真吾 National Museum of Ethnology, 文化資源研究センター, 准教授 (40270772)
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Keywords | 鉄燈籠 / 民俗文化財 / 能登半島地震 / 被災文化財 / 保存 / 穴水町 / 中居鋳物 / 明泉寺燈籠 |
Research Abstract |
本年度は、支持体の仮組み立てと耐震試験、所蔵博物館への本設置の計画立案、設置場所の環境調査を中心に研究活動を行った。 まず、鉄燈籠の1/2スケールで製作した模型を用いた耐震試験の結果、これまで明らかにできなかった、地震発生時の鉄燈籠の倒壊現象がある程度再現できた。具体的には、鉄燈籠の構造として、頂点の笠と中央部の受竿の直径のバランスが悪すぎて、地震の揺れに対応しにくい構造であったことが明らかになった。その結果、支持体には、各パーツの重量を緩衝させることは期待できるが、耐震性そのものの役割は果たせないことが明らかになった。その後の実験で、たとえばベアリングを設置するだけで耐震性が格段に向上することが確認されたため、今後は、耐震性について免震台の利用を積極的に考える必要があることを認識し、平成22年度の課題とすることとした。所蔵博物館への本設置の計画については、上記の免震台効果を確認後、10月をめどに返却、本組み立てを実施する方向で穴水町との調整を行った。この際、燈籠の返却を記念し、これまでの研究成果を披露するシンポジウムを穴水町主催で実施するとともに、穴水町の伝統産業であった鋳物業に関する子供向けワークショップも合わせて開催することとなった。 これらの活動は、本科研を通して計画が立案されたものであり、研究成果の社会還元という点では確かな成果を残すことのできる機会になると考える。また、設置場所の環境調査については、設置場所の塩分環境を中心に調査を行ない、ほぼデータの集積ができたので平成22年度に大阪の環境と比較しつつ、分析を進める体制を整えることができた。
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Research Products
(5 results)