2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境トレーサビリティ法を用いた新しい水質汚染評価手法の開発と実用に関する研究
Project/Area Number |
20681003
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
細野 高啓 Kumamoto University, 大学院・先導機構, 特任助教 (30367065)
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Keywords | 同位体 / 水質汚染 / 水質評価 / アジア / 大都市 / 地下水 / 河川水 / 大気汚染 |
Research Abstract |
大都市における水質汚染が世界中で大きな環境問題となっている。こうした問題の改善には、未だに開発が遅れている水質汚染の原因や汚染程度の評価手法の確立が急務となっている。このような背景から、本研究は水質汚染を評価するための新しい手法を開発し、その有用性を実証することを目的とする。本研究では世界の人口が集中するアジア大都市を対象とする。これまでの最先端研究で欠けていた『汚染の起源となる物質の特徴付け』を行い、かつ、新たな手法としてマルチ環境トレーサビリティ法を導入することで問題解決を図る。 昨年度(平成20年度)は比較試料として重要視している化学肥料および合成洗剤等の汚染原因物質の収集を完成させるとともに、降水、河川水、地下水等の水試料の収集も進めていた.今年度(平成21年度)は昨年度から続いている水試料の収集を続け、これをほぼ完成させた。水試料の収集にはこれまで得た科研費と地球研プロジェクト研究を通じて築き上げてきたアジア研究交流ネットワークを効果的に利用した。ネットワークによる効率化が実現され、あまり現地に足を運ばなくても分析に最適な水試料の収集が可能となった。結果、研究対象の全てのアジア大都市でこの重要な比較試料・水試料の収集が完成し、計画通り総合地球環境学研究所や高知大学コアセンターにおいてこれらの分析を行い、初期調査結果に基づいた研究成果を国際誌に発表するまでに至った。 試料の収集・分析・解析と並行して、平成21年度は特にマルチ同位体トレーサー分析を推進する実験・分析環境の整備にあたった。熊本大学に移動したことにより、前年度在籍の秋田大学の時と研究環境が多少変わり、移動による不足環境を補うための研究設備の整備に時間と経費を費やした。科学研究補助金と大学のバックアップがあり、マルチ同位体トレーサー分析を推進する環境が当初計画していたものよりも充実したものとして完成した。これにより平成22年度は平成21年度と比べて、高速かつ高効率で試料処理ならびに分析の継続が可能となった。データが順調に蓄積されているので、来年度は予定通りマルチ同位体トレーサー法の実用化の実証を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(14 results)