2009 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟性を持つ中空ガラスファイバーを用いたマイクロビーム細胞照射装置の開発
Project/Area Number |
20681004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 純 Tokyo Institute of Technology, 原子炉工学研究所, 助教 (90302984)
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Keywords | イオンビーム / ガラスキャピラリー / 細胞照射 |
Research Abstract |
ガラスキャピラリー中のMeVイオンの輸送過程についてモンテカルロ数値シミュレーションによる解析を前年度に引き続き行った.ガラスキャピラリー中のビーム輸送効率には,キャピラリーテーパー部の形状の影響が強く,キャピラリーの入口径と出口径を固定した場合,最大のビーム輸送効率が得られる最適なテーパー角が存在することを明らかにした.また,キャピラリーにより生成されるマイクロビームは,キャピラリー中を相互作用せずに抜けて来るコア成分と,キャピラリー内壁により散乱を受けたハロー成分から構成されることが数値計算からも再現され,実験で得られたビーム粒子のエネルギー分布や空間強度分布とも良く一致した.また,キャピラリーの素材や入射イオン種を変えることにより,ビーム輸送効率の原子番号依存性についても調べた.この結果から,キャピラリーの材料をより重い元素を含むものに変えることでビーム輸送効率を改善することが可能であることが分かった.実験装置については,イオン検出系の測定機器の更新を行い,従来よりも高エネルギー分解能の測定が可能になった.また,標的の位置制御のためのPCやその制御ソフト開発環境を新たに導入した.さらに,マイクロビーム照射真空容器の上流に新たに2つのビームスリットを設置した.これによりキャピラリーに入射するビームの入射角やビーム自身の持つ発散角を以前より精密に定義することが可能になり,実験条件の再現性や測定データの信頼性を大幅に向上することができた.
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