2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアゲノム・蛋白質付加体によるアルデヒド類の毒性発現機序の解明
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20681006
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80341494)
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Keywords | アルデヒド / ミトコンドリア / ゲノム付加体 / 蛋白付加体 |
Research Abstract |
健康影響が懸念されるにもかかわらず、アセトアルデヒドの発がんおよび非発がんの毒性発現機序は明らかでない。本課題はアセトアルデヒドのミトコンドリアを介した毒性発現機序を分子機序レベルで解明し、リスク評価の際に有用な毒性発現機序を明らかにすることを目的としている。 本年度は(1)Aldh2ノックアウトマウスをアルデヒド全身曝露し、核酸を抽出。形成されたα-Me-γ-OH-PdG核酸付加体は、野生型に比べノックアウトマウスで有意に高いことを認め学術誌に発表。 (2)Aldh2ノックアウトマウスをアルコール経口投与し、核酸を抽出。形成されたα-Me-γ-OH-PdG核酸付加体は、野生型に比べノックアウトマウスで有意に高いことを認め学術誌に発表、さらに食道および顎下腺(唾液腺の一部)において他の臓器に比べて付加体が有意に高いことを認め学会誌に発表した。これらの知見は、IARCによる飲酒に伴うアセトアルデヒドが発がん性評価グループ1(ヒトに対する発がん性を示す)の評価、およびALDH2不活性型の飲酒者に食道がんが有意に多いという疫学調査結果を、動物実験および発がん機序の面から補強する知見と考えられる。 (3)細胞核ゲノム対ミトコンドリアゲノムのα-Me-γ-OH-PdG核酸付加体の比較、(4)細胞核およびミトコンドリアゲノムの代表的遺伝子の定量PCRから、アルデヒド曝露によりミトコンドリアゲノムが損傷を受け細胞核に対するミトコンドリアゲノム数減少を充分な検体数を得たので検証中である。また、チトクロム類での付加体結合部位を検証中である。また、本研究の副次的成果として骨髄細胞p21遺伝子発現増加、心血管内皮細胞の小胞体ストレス反応およびアポトーシスがAldh2ノックアウトマウスで誘導されていることから、飲酒による骨粗鬆症や心不全発症の病態およびリスクがALDH2不活性型のヒトで異なる生物学的知見を得た。
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Research Products
(5 results)